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突抜忍冬(ツキヌキニンドウ)
花言葉:愛の絆、献身的な愛、など

なんというか、凄い名前の花もあったものですね。一発で変換できないという……。
今回は三国伝で、陸遜と尚香です。





12:突抜忍冬 (ツキヌキニンドウ/言い表せない想い)


「りーくそんっ!」
 その声があんまりにも弾んでいたものだから、嫌な予感はしていたのだ。ここで何か反応を返せば、きっと困った事になるだろう、と。
 それでも陸遜は、恐る恐るではあるものの、声のした方へと視線を向けた。声の主を無視するという選択は、脳裏に薄らと浮かんだ瞬間に消えている。
 結果、目に映ったのは満面の笑みを浮かべた尚香と、美味しそうな炒飯の盛られた皿。
 思わず硬直した陸遜に、ずい、と尚香が皿を差し出す。
「これ、作ってみたんだけど。食べて感想聞かせてくれない?」
「……えぇと」
 炒飯から視線を外し、考える。
 美味しい料理を作ろうと、尚香は料理の練習をここしばらく続けている。その試食係は彼女の兄たちであったり、偶然近くに居合わせた武将や部隊兵だったりすることもあるのだが、基本的には何故か自分の役割だった。だからこそ言えるのだが、彼女の料理を美味しいと言える回数は徐々にだが、確実に増えている。
 そもそも料理における彼女の問題は『材料を焦がす』だとか『調味料を間違える』だといったものではなく、『本来入れるべきではない物を入れる』こと。
 ならば、それさえ止めればきちんとした料理ができあがるはずだと、何度も普通に作るようにと言い続けてきた。その甲斐あってあってか、妙な物を入れる頻度は随分と減り、まともな料理が増えたというわけなのだ。
 だが、あくまで、増えただけなのである。
 ……無くなったわけでは、ない。
 つまり、異物の混入は完全には途絶えていないということであり、目の前の炒飯が危険なのか安全なのか判別がつかないということなのだ。
 故に、できることなら断りたいのだけれども……多分、断りきれないだろう。今までがそうだったのだから、今回がそうでないとは思えない。
 ということで、結局。
「……いただきます」
 不安もろとも逃げ出したい気持ちを胸に押し込めて、陸遜は両手を差し出した。






尚香は、本来のレシピから外れずに調理をすれば、普通に美味しいものを作れるんじゃないだろうかと。でも、本人が入れたがりそうだから、完全には安全にならないと言う感じかなー、と。
特訓に付き合う陸遜は……頑張れとしか言いようがないな。

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