10.ベルマーク
鐘の音が響く。
高い塔の、頂上にある大きなベルが。
今、一人の少年に鳴らされている。
それに、アレルヤは座って耳を傾けていた。
体は外側を向いていて、足は中に投げ出され、フラフラと。
遠くまで見える景色は緑で、のどか。平和そのもの、と言っても過言ではない。
これが、君の求める理想の世界?
ちらり、と少年を見れば、彼はまだ鐘をついている。
一生懸命、世界の果てまで届くように。
平和であれという願いを、祈りを響かせる。
いつまで、鳴らし続けるのだろう。鳴らし続けたら気が済むのだろう。
……きっと、それは、夢の外でも平和になるまで。
「オレは、戦うための存在だ」
ふいに、少年が口を開いた。
くるりと振り返ると、彼はまだ鐘を鳴らし続けている。
「戦って、戦って、戦って、戦って。ただ、そのためだけに生まれた存在」
彼の腰に帯びている、三本の剣が揺れる。
そういえば、服のうちにもあと四本ほど刃物を忍ばせているのだと、以前聞いた。
七本の剣。
「そして、理想を具現するために在る」
鐘は、鳴り続ける。
「だから、オレは鐘をつき続けるつもりだ」
……それは、理想が現実になるまで?
少年にそう問うと、彼はこくりと頷いた。
「平和であるように、争いが無くなるように」
ここは眠る人々の夢の世界だ。鳴らしていたら、何らかの効果も出るかも知れない。
そう話す、彼。
「たとえ、それがどんなに長い道のりでも構わない」
目には決意の光。
言葉からは決心の響き。
「犠牲を払ってでも……」
……仲間が犠牲になっても?
それでも構わないの?
訪ねると、彼は逡巡する様子を見せ、それから口を開いた。
「できれば……嫌、だな。オレには仲間が四人しかいない。欠けてしまうのは、嫌だ」
それだけ?と言うと、さらに少年は躊躇いを見せる。
まるで、それを望んではいけないとでも思っているかのように。
きちんと彼が見えるように、体を内側に向けて、足を床に付ける。
「まだ、いる。けれど……壊して、殺してきたオレが、そこまで望んではいけない」
悲しげな表情が、良く見える。
答えは、とても彼らしい物。
それら二つを見て、聞いて。
それから微笑んで、それから言った。
願っても良いんだよ?願うことは罪悪じゃ、ないから。
その言葉を受けて、少年が薄く笑んだのを見て。
それから、アレルヤは体を後ろに倒した。
ふわりと、体が宙に浮いて…
誰だか分かった人には拍手です。
今回は
エクシア…うわぁ、やっちゃった感が。
ワタリはMSも大好きです。とてもとても。なので、こういう事態はある意味適当。ワタリだからね。
ヒントは七本の剣に、四人の仲間。
他のMSは…敵だから。本当に、仲間と呼べるのは四人だけですね。四人、というか四機か…。
だからこそ、彼らに心があったら、仲間を大切にしたいと思うんじゃないかと。