式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
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三回戦目
別名:一年生vs三年生 パート2
登場……前回よりは一人減りました。
別名:一年生vs三年生 パート2
登場……前回よりは一人減りました。
すでに二人ほど脱落者が出ている三回戦目。
こんなゲーム早々に中止させるべきなのだろうが……生徒会長だという権限を振りかざしてみても意味はないだろう。相手は理事長、そしてオーナーだ。勝ち目など、始めから無いに等しい。
コーラサワーを連れてきていて良かった。こんな地獄を自分とマリナが味わうのに、同じ三年生のあの炭酸だけ無事だというのは酷く腹立たしい。特に、同じクラスのマリナはそうい思いが強かっただろう。彼を強制的に連れてくるときも、彼女はいつも以上に強引だった。
カードを集め、カットし、参加者に配っていく。
……これは、単純に勝っていけばいいゲームではない。ある意味、精神的な戦いも入っている。敗者でも、勝者に勝つ可能性がある。
さきほどの刹那のが良い例だ。彼は勝ちはしたが、結局マリナの圧力に負けて自ら敗北への道を選んでしまった。
「ヴェーダ、いったい何を入れたんですか?」
「え?一番最初のやつに、あと醤油とかみりんとか油とか……調味料を色々と。あ、コショウも入ったっけ」
後ろからそもそもの原因、つまりスメラギとヴェーダの声が聞こえる。
どうしてこんな集まりを思いついたのか、ひどく二人に問いただしたいのだが……ヴェーダがいるから無理だ。今まで一度も、彼女に勝てたことがない。渡り合えるとしたらせいぜい、学園建設者のイオリアくらいのものだろう。彼は彼女の「ツボ」を押さえているようで、ヴェーダもイオリアを苦手としている節がある。
いつかその、ヴェーダの「ツボ」を教えて欲しいものだ。いい加減、彼女に翻弄されるのには疲れてしまった。
「今回は何を入れるんです?」
「そうね……パート2のものはそのままで、後は何にしようかしら。ラー油でも入れてみるかな」
「……止めてください」
「ティエリア、止めてしまったら楽しくないでしょう?」
「楽しいのは貴方たちだけです」
参加者の顔をしっかりと見て欲しい。みんな、疲れ切って……というか、戦々恐々としているのが瞳に映らないのだろうか。ソーマだとかマリナだとか、戦意を失っていなかったり危機感を持っていない人物もいはするが、それは例外中の例外だから除外してもいいだろう。
ため息を吐きながら、ヨハンの手札からカードを一枚引く。
「ティエリア、どうでした?」
「…あがった」
「そう?よかった……」
自分のことのように喜ぶアレルヤ。
……本当に、彼は癒しだ。こういう状況にこそ必要な。
「あとは……ハレルヤと」
「炭酸だな」
「いや、ちゃんと名前で呼びましょうよ……」
残っているのは、ハレルヤとコーラサワー。二人とも、普段の彼らの様子からは予想もつかないくらい真剣な表情だ。こういうことにだけではなく、もっと勉強方面でもしっかりと集中してくれはしないだろうか。
ちなみに、一番勝ちはソーマだったりする。
これで、もしもハレルヤが負けてくれたら実におもしろいことになるのだが……どうなるだろうか。
「それよりもアレルヤ」
「丁寧語は直しませんよ」
「呼び捨てなのにか」
「関係ないです」
という、いつも通りのやりとりをしているうちに、勝負の決着はついてしまっていた。
勝者はハレルヤだった。つまらないことに。
ここで負けてくれれば少しは、好感度が上がったかもしれないのに。
「敗者はコーラサワーですね。ヴェーダ、飲み物をください」
「はいは~い。これが『特製ブレンド・パート3』ね」
……飲み物の色が、変わっていた。
一番最初の時も、二番目の時も緑だった。醤油が入っていたらしいが、緑色だったはずだ。むしろ、二番目の方が緑色だった。
それがどういう経緯を経たのか………真っ赤になっていた。
入れたものは、何となく想像がつく。
「何を入れたのですか?」
「それを言ったら、彼が飲めなくなるかもしれないわ」
……本当に何を入れたのですか、ヴェーダ。
「お酒とかは入ってないから、法律には触れてないわ。はい、ソーマちゃん」
「承りました。コーラサワーに飲ませます」
「お……俺は嫌だぞっ!?」
コーラサワーは逃げ腰だった。というか、逃げようとしてた。
無理もないだろうが、ここで彼を逃がすわけにはいかない。せっかく罰ゲームが彼に回ってきたのだから、きちんと消化してもらわねば。だいたい、あの「特製ブレンド・パート3」には炭酸も入っているのだ。仲間を拒否してもらうわけにはいかないだろう。
同じ気持ちだったのだろう。彼のそばにいたマリナが彼の肩に手を乗せている。
そのまま(悪魔の)微笑みを浮かべて、言った。
「ねぇ、炭酸……まさか、逃げたりはしないわよね?」
「うっ……」
「貴方が逃げたらソーマちゃんがあれ、飲むことになるのよ?まさか、そんなことはしないわよね……?」
「だからって……俺はまだ死にたくな…」
「………………コーラサワー」
ふいに、ソーマが口を開いた。
何?と振り向くコーラサワーに、黙って「特製ブレンド・パート3」を差し出す。
「何だよ」
「……」
「おい、なんか言えよ」
「………」
「……何か言えって」
「…………」
「…何か言ってください」
「飲みなさい。貴方は男でしょう。逃げるのですか?そんなことをするのなら……」
一瞬間をおいて、それからポツンと一言。
「カティ・マネキン先生に言いつけます」
…………この瞬間、彼の運命は定まった。
コーラサワーはパクパクと口を開いて何かを言いたそうにしていたが、結局何も思いつかなかったらしく、肩をおとして「特製ブレンド・パート3」を受け取った。
「……飲みます」
「よく言えました。先生に伝えておきます」
「覚えてろよ……」
「返り討ちにしますけど、かまいませんか?」
完璧に、三年生が一年生に負けている。
それを同学年としてイライラしながら見ていたが、相手が彼女ではしかたがないかもしれないと思い直すことにしておく。
赤い液体を見てゴクリ、と喉を鳴らした後、彼は一気にそれを飲み干した。
一回目から三回目まで、どうして飲む人は皆、一気に飲むのか……それはやはり、少しでも早くこの地獄から逃げたいからだろう。あれをチビチビと飲むのには、かなりの勇気が必要だろう。少なくとも自分には無理だ。
などと思っているうちにコーラサワーは、バタリと倒れてしまった。
炭酸が不憫な……でも、ああいう子だよね?
こんなゲーム早々に中止させるべきなのだろうが……生徒会長だという権限を振りかざしてみても意味はないだろう。相手は理事長、そしてオーナーだ。勝ち目など、始めから無いに等しい。
コーラサワーを連れてきていて良かった。こんな地獄を自分とマリナが味わうのに、同じ三年生のあの炭酸だけ無事だというのは酷く腹立たしい。特に、同じクラスのマリナはそうい思いが強かっただろう。彼を強制的に連れてくるときも、彼女はいつも以上に強引だった。
カードを集め、カットし、参加者に配っていく。
……これは、単純に勝っていけばいいゲームではない。ある意味、精神的な戦いも入っている。敗者でも、勝者に勝つ可能性がある。
さきほどの刹那のが良い例だ。彼は勝ちはしたが、結局マリナの圧力に負けて自ら敗北への道を選んでしまった。
「ヴェーダ、いったい何を入れたんですか?」
「え?一番最初のやつに、あと醤油とかみりんとか油とか……調味料を色々と。あ、コショウも入ったっけ」
後ろからそもそもの原因、つまりスメラギとヴェーダの声が聞こえる。
どうしてこんな集まりを思いついたのか、ひどく二人に問いただしたいのだが……ヴェーダがいるから無理だ。今まで一度も、彼女に勝てたことがない。渡り合えるとしたらせいぜい、学園建設者のイオリアくらいのものだろう。彼は彼女の「ツボ」を押さえているようで、ヴェーダもイオリアを苦手としている節がある。
いつかその、ヴェーダの「ツボ」を教えて欲しいものだ。いい加減、彼女に翻弄されるのには疲れてしまった。
「今回は何を入れるんです?」
「そうね……パート2のものはそのままで、後は何にしようかしら。ラー油でも入れてみるかな」
「……止めてください」
「ティエリア、止めてしまったら楽しくないでしょう?」
「楽しいのは貴方たちだけです」
参加者の顔をしっかりと見て欲しい。みんな、疲れ切って……というか、戦々恐々としているのが瞳に映らないのだろうか。ソーマだとかマリナだとか、戦意を失っていなかったり危機感を持っていない人物もいはするが、それは例外中の例外だから除外してもいいだろう。
ため息を吐きながら、ヨハンの手札からカードを一枚引く。
「ティエリア、どうでした?」
「…あがった」
「そう?よかった……」
自分のことのように喜ぶアレルヤ。
……本当に、彼は癒しだ。こういう状況にこそ必要な。
「あとは……ハレルヤと」
「炭酸だな」
「いや、ちゃんと名前で呼びましょうよ……」
残っているのは、ハレルヤとコーラサワー。二人とも、普段の彼らの様子からは予想もつかないくらい真剣な表情だ。こういうことにだけではなく、もっと勉強方面でもしっかりと集中してくれはしないだろうか。
ちなみに、一番勝ちはソーマだったりする。
これで、もしもハレルヤが負けてくれたら実におもしろいことになるのだが……どうなるだろうか。
「それよりもアレルヤ」
「丁寧語は直しませんよ」
「呼び捨てなのにか」
「関係ないです」
という、いつも通りのやりとりをしているうちに、勝負の決着はついてしまっていた。
勝者はハレルヤだった。つまらないことに。
ここで負けてくれれば少しは、好感度が上がったかもしれないのに。
「敗者はコーラサワーですね。ヴェーダ、飲み物をください」
「はいは~い。これが『特製ブレンド・パート3』ね」
……飲み物の色が、変わっていた。
一番最初の時も、二番目の時も緑だった。醤油が入っていたらしいが、緑色だったはずだ。むしろ、二番目の方が緑色だった。
それがどういう経緯を経たのか………真っ赤になっていた。
入れたものは、何となく想像がつく。
「何を入れたのですか?」
「それを言ったら、彼が飲めなくなるかもしれないわ」
……本当に何を入れたのですか、ヴェーダ。
「お酒とかは入ってないから、法律には触れてないわ。はい、ソーマちゃん」
「承りました。コーラサワーに飲ませます」
「お……俺は嫌だぞっ!?」
コーラサワーは逃げ腰だった。というか、逃げようとしてた。
無理もないだろうが、ここで彼を逃がすわけにはいかない。せっかく罰ゲームが彼に回ってきたのだから、きちんと消化してもらわねば。だいたい、あの「特製ブレンド・パート3」には炭酸も入っているのだ。仲間を拒否してもらうわけにはいかないだろう。
同じ気持ちだったのだろう。彼のそばにいたマリナが彼の肩に手を乗せている。
そのまま(悪魔の)微笑みを浮かべて、言った。
「ねぇ、炭酸……まさか、逃げたりはしないわよね?」
「うっ……」
「貴方が逃げたらソーマちゃんがあれ、飲むことになるのよ?まさか、そんなことはしないわよね……?」
「だからって……俺はまだ死にたくな…」
「………………コーラサワー」
ふいに、ソーマが口を開いた。
何?と振り向くコーラサワーに、黙って「特製ブレンド・パート3」を差し出す。
「何だよ」
「……」
「おい、なんか言えよ」
「………」
「……何か言えって」
「…………」
「…何か言ってください」
「飲みなさい。貴方は男でしょう。逃げるのですか?そんなことをするのなら……」
一瞬間をおいて、それからポツンと一言。
「カティ・マネキン先生に言いつけます」
…………この瞬間、彼の運命は定まった。
コーラサワーはパクパクと口を開いて何かを言いたそうにしていたが、結局何も思いつかなかったらしく、肩をおとして「特製ブレンド・パート3」を受け取った。
「……飲みます」
「よく言えました。先生に伝えておきます」
「覚えてろよ……」
「返り討ちにしますけど、かまいませんか?」
完璧に、三年生が一年生に負けている。
それを同学年としてイライラしながら見ていたが、相手が彼女ではしかたがないかもしれないと思い直すことにしておく。
赤い液体を見てゴクリ、と喉を鳴らした後、彼は一気にそれを飲み干した。
一回目から三回目まで、どうして飲む人は皆、一気に飲むのか……それはやはり、少しでも早くこの地獄から逃げたいからだろう。あれをチビチビと飲むのには、かなりの勇気が必要だろう。少なくとも自分には無理だ。
などと思っているうちにコーラサワーは、バタリと倒れてしまった。
炭酸が不憫な……でも、ああいう子だよね?
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