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そして、ついに五番目の……。
頑張ってね、アレルヤ。

登場(基本的な)……アレルヤ、ハレルヤ




 一週間ぶりの学校。
 久しい教室の様子。
 懐かしくさえ思う授業の雰囲気。

 それらを味わい堪能し……しかし、アレルヤの表情は浮かなかった。
 それもそのはず。寮にはまだ、刹那とロックオンという病人が二人ほど寝ていて、彼らの看病を続けたかったのに、勉強は学生の本分だとクリスティナに追い出されて、仕方なく学校へ来てしまったのだから。
 ため息を吐いて、カチカチとシャーペンのシンを出していく。
 授業に集中しなければ、とは思う。だが、寝たきりの二人のことを思うと、どうしても思考がそちらの方へ向かってしまう。
 そういえば三年生のコーラサワーも、二年生のジョシュアも学校に来てはいないのだと聞いた。彼らも一週間前からずっと、『原因不明』のまま休んでいるらしい。
 ……『原因不明』……ね。
 クラスメイトが話したことをを思い出して、苦笑を浮かべる。
 その『不明』とされている原因を知っているアレルヤとしては、もはや笑うしかない事態だった、これは。
 四人全員が休み出す前日、つまり八日前に何があったのかというと…『あの』ゲームがあった。
 ゲームに負けた彼らは、学園オーナーの作った通称『特製ブレンド』を飲むことになって……その後の話は、言わなくても推測してもらえると思う。ともかく様々な物が混ぜ込まれてしまったソレを飲み干して、無事でいられる人間がいるわけがない。……リンゴの皮や醤油なんてものもあったそうだから。
 …その時の話は、あまり思い出したくない。考える度に鬱々とした気分になるから。休んでいる四人のこともあるけれど、それだけが理由ではない。アレルヤも、ゲームに負けてしまった一人だから、というのもある。
 なのに、どうして自分は無事に学校に来ているのか。
 その理由は簡単なことで、アレルヤは『特製ブレンド』を飲んでいないからだ。五回目の敗者の罰ゲームは、それまでのものとは全く違ったのだった。
 再びため息を吐いて、他の参加者のことを思う。
 ティエリアとマリナの三年生二人組はゲームの翌日から、何事もなかったかのように学校へ来ていたそうだ。トリニティ三兄弟も同様に。ただし、ネーナはたまに刹那の見舞いにやってきた。グラハムとビリーもいつも通り。ソーマは毎日、看病にいそしむアレルヤの手伝いに来てくれて。
 最後に……ハレルヤ。彼は学校に来てもいないし、そもそも寮にさえ帰ってきていない。ゲームがあったその日から、外出したまま戻ってきていない。まぁ、夜の九時頃に毎日連絡が入っているから心配はしていないけれど。
 それでも。心配ではなくても、少しくらいは寂しいと思うのに。
 いい加減、帰ってきてくれたらいいのに。そう思う反面、ちょっと怖いとも思う。彼が、アレルヤの罰ゲームの執行人だから。
 ヴェーダの唐突な思いつきによって、五回戦で一番負けだったアレルヤは、二番負けだったハレルヤの言うことを一つ、聞くことになってしまった。
 ゲーム終了直後の、ハレルヤの表情を思い出す。凄く明るくて、凄く嬉しそうで、凄く楽しそうな笑顔。
 一見すれば、ただ笑っているだけ。だけれど。
 ……あれは、良くないことを考えている顔だったよね。
 思って、三回目のため息。
 一体、何をさせられてしまうのだろう。双子の兄のことだから、自分にできない無理難題をふっかけてはこないだろうけれど……あの顔を思い浮かべてしまう度に不安になってしまうのは、当たり前のことではないだろうか。
 逃げることは不可能。身体能力もスタミナも彼の方が上だから、どこまで逃げても追いかけてくる。止めるよう頼むのも結構無駄だ。あんな表情を浮かべたハレルヤを、止めきる自信がアレルヤにはない。
 だから、どうやっても彼の言うことに従わないといけないわけで。
 何をやるのであれ、とても憂鬱だ。
 用意ができたら呼ぶ、とは言われているけれど、何時になったらその時はくるのだろう。とっとと済ませたいからできれば早く来て欲しいし、同時にやりたくないからずっと来ないで欲しいとも思っていて。
 なかなか、複雑な心境なのである。
 と、その時、携帯の着信音が鳴った。
 アレルヤたち生徒会のメンバーは、携帯の電源を入れたまま授業に出席することが命じられ……もとい、義務づけられ……いやいや、許可されている。それはもちろんヴェーダの采配で、つまりは彼女の暇つぶしの相手になれということである。呼ばれたら、絶対に行かないといけないから。拒否権はない。これも、彼女の職権乱用の形の一つだろう。
 そこら辺は教師たちも知っているから、同情を顔に浮かべて、視線で携帯に出るように促してくる。彼らも、ヴェーダの被害には一回はあっているだろうから、なおさら必要性を実感しているのだろう。
 教員に軽くお辞儀をして、アレルヤは携帯を開いた。
 今回は電話でなくて、メールだったようだ。受信したというメッセージが画面上に浮かんでいる。
 今度は何?とメールを開いて、ちょっとだけ驚いた。メールは、ヴェーダからの物ではなかったから。
 それは、ハレルヤからのメールだった。
 本文には一言だけ。

『用意できたぜ』

 ただ、それだけ。
 それだけなのだが……言い様のしれない不安を覚えるのはどうしてなのだろう?
 用意というのはやはり……罰ゲームの用意、だと思う。
 これから自分はどうなってしまうのか。それは多分、神様などといった万能者か、ハレルヤくらいしか分からないのだろう。
 ふっと窓の外を見ると、青い空とさえずる小鳥が目に入った。
 あぁ、世界は自分の危機とは関係なく、とても平和だ。
 そうやって、少々現実逃避をしていると、またメールが来た。
 黙って開くと、それもハレルヤからの物。

『どーせ、あのオーナーからのメールだと思われてんだよな?なら、今すぐこっちに来いよ。普通に許してもらえるだろ?違うってバレなけりゃ、問題はねぇし』

 問題がない?大ありに決まっている。それにそういう問題じゃない。
 四回目の、ため息が出た。


アレルヤ頑張って……。
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