[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
でも、アレルヤ大変だなぁ……
登場……アレルヤ、ハレルヤ
結局、来ちゃったよ……。
寮にある自分たちの部屋で、アレルヤは何度目になるだろうか、ため息を吐いた。
ため息を吐く度に幸せが一つ減っていくそうだが、それではアレルヤの幸せは幾つになってしまっているだろう。この学園に入って……否、それよりもっと前から、たくさんため息を吐いてしまっているのだけど。
あぁ、だからこそ、幸せがどんどん逃げているからこそ、こんな目にあっているのかもしれない。助けてくれそうな人たちは、寝込んでいるか学校にいるか。あるいは仕事をしているか。だから、誰の手も差し伸べられないだろうことは、容易に想像がつく。かなり悲しいことに。
だからこそハレルヤは、この時間帯に罰ゲームをしようと言い出したのだろうか。邪魔が入らず、ゆっくりとできるから。
「アレルヤ、次これ着てみ」
「……一体、幾つあるのかな…?」
アレルヤの視線の先には、別の学校の制服を持つハレルヤ。
用意、というのはどうやら、様々な学校からの制服を掻き集めることだったらしい。見れば、ゆうに段ボール一箱分くらいにはなる洋服が、床に乱雑に散らばっている。よくもまぁ、これだけ集めたものだ。
罰ゲームの内容は、いたってシンプルだった。ハレルヤが着ろと言った服を、アレルヤが着る。それだけ。何が楽しいのか、だいたい罰ゲームになっているのか、そういうのが分からない感じのもの。
ちなみに今、アレルヤが着ているのは学ラン。これでたしか、五着目。今まではずっとブレザーを着ていた。一言にブレザーと言っても種類はたくさんあって、デザインが被るものはほとんどなかったように思う。探すのも大変だったろうに……普段は面倒だ面倒だ、といろんなことに対してごねるくせに、どうしてこういうことには頑張るのか。いや、彼にとって楽しいからだとは分かっているけれど。
とりあえず、双子の兄から次の服を受け取ろうとして……固まった。
「どうした?」
「どうしたって……それ……」
「ん?あぁ、これな。どうかしたのかよ」
「それ……それさ……」
ハレルヤの手にあるのは、ヒラヒラのスカート。
どこからどう見ても女子の制服だった。
唖然としてそれを見ながらも、他人事のように思う。
なるほど、これなら楽しいかもしれない。特に、着せている人はとても楽しいだろう。着せ替え人形にされる人がどうかはさておいて。
……じゃなくて。
「まさか、それを着せるつもり!?」
「当然だろ?普通の服着せるだけじゃ、罰ゲームにはなんねぇし」
「僕は男だよっ!」
「たまにはいいだろ?」
叫ぶと、ハレルヤはにこりと笑った。
……正直、怖い。
「ッ……よ…良くないから言ってるんじゃないか!」
「あのなぁ……お前の意思は、この際関係ないんだよ」
言われて、グッと詰まる。
そう。罰ゲームは二番負けが決めて、一番負けはそれに従わないといけない。そういうルール。一番負けの意思が介入できる場所は……多分、無い。二番負けがとっても優しい人だったら何とかなったかもしれないけど、あいにく、ハレルヤは自分のやりたいことに忠実だ。だから、無理。
それでもまだ、アレルヤは諦めきれなかった。諦めたらスカート、である。諦めろと言う方が難しいだろう、これは。
「ってなわけだから、着ろ」
「でも……」
「そんなに言うなら罰ゲーム、俺以外の奴と口聞かない……ってのに、今から変えてやってもいいけど?」
……それは、もっと嫌なんだけど。
口には出さなかったけれど、彼には分かったらしい。黙って服を押しつけてきた。
それから、少しして。
「もういいよねっ!いい加減、飽きたでしょ!?」
「まさか。服はまだあるぜ?男のより、女のの方がバリエーションが多いんだよ」
最初に女子制服を着たときから、ずっと顔を真っ赤にしたままのアレルヤがハンガーを投げつけるも、ハレルヤはヒョイッと避けて制服を投げつけてくる。
……あれから、アレルヤは十着くらいはスカートをはかされていたりする。男子だとか女子だとか言う感覚が、そろそろ薄れてきそうだ。
「ていうか、お願いだからっ!」
「……しゃーねぇな……じゃ、次これ着ろ」
「で、終わり?」
「一応な」
一応、というのが気になりはしたけれど、それよりも今ははやくこの制服地獄から抜け出たいとしか考えられなかった。本当にスカートは恥ずかしいのだから。
スカートがさっきよりも短くなっている気がしたが……気にしないことにする。ちょっと我慢したら終わるし。
というわけで、着てみたら。
「うし、じゃ、第二部行くぜ?」
………第二部?
変な言葉が聞こえた気がする。
何だか、今まで以上に嫌な予感がした。
明日は、ちょっとだけティエ様がでてきます。
でも、ホントにちょっとだけ。