[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
もーちょいで半分。
…そしてニンジンと言えばこのヒトたちしかいまい。
47:ニンジン
こんな世界でも、やっぱりあるものはあるもので。
そのオレンジ色の物体を見て、とりあえずGP-01はため息を吐いた。
「あーあ…ってことでサイサリス、これ食べてくんない?」
「誰が食うか!…つかその名前で呼ぶなって言ってんだろうが!」
「このくらいで怒鳴るなんて心狭いなー。な、ステイメンも思うだろ?」
「01にーちゃんが悪いとおもうよ…」
「え?そう?」
「どっからどう見てもそうだろうが!」
そうかなぁ、と弟たち二人に悪いと言われてしまったGP-01は腕を組んで首を傾げた。このくらい普通だと思うのだけれどどうだろう。とりあえず自分の中ではこのくらいはまだ普通の領域にあるのだが。
理解されないというのは少し悲しいが、価値観の違いと言うことで諦めておこうか。
しかし、その話が微妙な解決を見せたとしても、目の前のオレンジ色の悪魔がいなくなるわけではないのであって。
とりあえず、ヒョイと箸を駆使してニンジンの一つをGP-02の皿に移す。
「…!」
「んじゃそーいうことで頑張れサイサリス」
「ざっけんなぁッ!」
「はいそこ騒がない」
と、そこでビシ、とは行かないがGP-01は言った。
「ここは食堂だからあんま大きい声出したら外響くんじゃないかな」
こう言ってしまえば、だいたい常識人のこの弟の動きを封じるのは結構楽だ。常識人と言うことはつまり、周りの人にはむやみやたらに迷惑をかけてはならないと言うことを知っている、というわけであって。
だから、基本的にこう言えば彼を止めることは可能だ。
ただし、自分が関わっているときは、たまに止まってくれないこともあるが。
何とも不思議だがそれが現状だった
「…っち」
そして今回は止まる方だったらしい。
舌打ちをして、それからGP-02は黙り込んだ。ちゃっかりとニンジンを自分の皿に戻してはいたが。それは、見えていたがあえて止めなかったので別にどうということはない。
食べなきゃいけないかなぁとニンジンを憂鬱に眺めて、残せばいいかなと思ったりもして。けれど。
「コレ残すの凄く問題だと思うんだよな…」
「たしかに…」
「…否定は出来ねぇな」
この食材たちは、この宿屋にあった物。そして、宿にあった食材は見事に全て無くなってしまったのである。
それはまぁ、そうだろうとメンバーを見て思う。特にたくさん食べるようなキャラがいないでもない気がするが、それだってさほど問題にはならない人数だろう。ただ、それでもメンバーがあまりに多すぎる。困ったことに。
お陰で、食べ物が無くなった。
…だからこそ、これを残すのは少々忍びないのであった。全てを提供してくれた宿側……といっても身内だけど結局……にも、よそうとき均等に…けれど自分たちのニンジンは他より少なくしてくれた料理を作ってくれた人にも、申し訳ない気がする。
そういうわけで、どうしても残せない。
だからといって、食べたくなるワケでもなく。
それが自然とニンジンの押し付け合いになったところで、何の疑問もないだろう。
「じゃ、ジャンケンでもしてみる?負けた人が全部食べるって方向で」
「みんながちゃんとノルマをたっせいしたらいいんじゃ…」
正論を述べるステイメンの、肩に手を置いてGP-01はニコリと笑んだ。
「ステイメン、良いか?こういうのは押しつけたもの勝ちなんだぞ?」
「変なこと教えてんじゃねぇよ」
「変なこととは失礼な。真理だろ、真理」
「そんな真理誰もいらねぇだろうが」
「オレが必要としてるんだってば…ってわけで」
ばっと勢いよく腕を出して、GP-01は言った。
「最初はグー!じゃんけん…」
「ってわけで頑張れサイサリス」
「…テメェ最後は後出しだったろ!」
「えー?そうだっけ?お兄ちゃん忘れちゃったー」
「…」
「02にーちゃん!ぶきかまえちゃダメだよ!」
02ファイト。いやもう自分でかいといてそんなんしか言えない。