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type4はちょっと短めシリーズで行くことにします。
001:落花流水
こう言うとき、どうしたらいいのだろう。
市は思い、途方に暮れた。
何せ、こんな状況が初めてだ。
初めてであっては対応の仕方も分からない。
「長政様…」
呼びかけてみればいつもの様に「何だ」と言ってこちらを向くかと思ったけれど、今回はそうはいかなかった。目は開かないし反応もない。
当然である。長政は今、眠っているのだから。
死人のようにではなく、生者そのものであるように眠っている。
…市の膝枕で。
「…どうしてこんな風になったんだっけ…」
呟き、いくら考えて見ても答えは出ない。ただ、理由など考える以前に今の市にとっては、現状をどうするべきかを思案する方が先決であることは事実だ。
どうしたらいいのだろう。こんなにぐっすり寝ているのに起こすのは悪い……あぁ、そういえば、最近はあまり眠れていなかったのだっけ。仕事を溜めるような人ではないけれど、時として仕事が一気にやってくることもあるらしいのだ。
疲れていたのだろうと、思えばますます動けなくなる。
ちょっと動いたくらいなら起きないだろう。けれど、枕か何かを持ってくる間だけでも、堅い床の上に頭をのせてもらうというのは少々気が引ける。
と、そこで市は理由を思いだした。
そうだ。確か、仕事をしている長政を見ていて、頑張っているけれど眠そうだった長政に眠るように言ってみたら、丁度傍に枕代わりがなかったから、だ。
思い出してみると、本当に平和な理由。
けれども…ここに来た時は、こんな事をするようになるなんて思ってもいなかった。それは彼も同じだろう。仲が悪いわけではなかったと思うけれど、間に大きな隙間があったのは間違いない。
それが、ここまで隙間無く近寄れるようになった。
それが何だか嬉しくて、市は自然と笑みを浮かべていた。
この二人はとりあえずとてつもなく仲良かったらいいと本気で思う。幸せになって欲しい。