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暗いお話です。
いや、多分、本当に暗いですよ?
それでもいける人はどうぞ……
05.バランス
※なんか壊れかけてる気がする人がいます。
たまに、思うことがある。
もしも、この安定している状態を崩してしまったら、どうなってしまうのだろう、と。
仲間内でのほどよい関係。これが崩れてしまったら、自分たちはどうなるだろう、と。
険悪な仲になるのだろうか。
口を聞かなくなるのだろうか。
関わらなくなるのだろうか。
存在を認めなくなるのだろうか。
殺し合うのだろうか。
恐らく、一番最後のは有り得ないだろう。マイスターは全員が知っている。誰か一人でも欠ければ、自分自身がより負担を背負うことになることを。死ぬ確立が、増えてしまうことを。肌で、実感しているはず。
従って、それと同様の理由で、存在を認めなくなるというのと、関わらなくなるというのは無い。ミッションで組むときなど、必ずコンタクトを取らなければならない場合が生まれてくるからだ。
口を聞かなくなるというのも、そういう意味では有り得ないかも知れない。日常生活では絶対に話さなくなるかも、というのはあるだろうが。あぁ、ならば、関わらなくなるというのも、こちらに入るか。
険悪な仲になるのは間違いないだろう。皆、どこか壊れている気がしなくもないメンバーだけど、そのくらいの感情はあるだろうから。
実際に、試してみればいいかもしれない。元々、そんなに共通点もなく、どうして関係性が安定しているのか不思議な自分たちだから、実行すれば、驚くほど簡単に信頼関係は崩れ去るだろう。
では、誰を目標にしようか。
少し考えた後、一番最年少のマイスターを選ぶことにした。彼とならば、あっとうまに決着はつくだろう。というか、他の二人が地上に行っていて彼しかいないし。
さて…彼は、どこにいるだろう。自室だろうか。
ふいと時計を見ると、もう昼食の時間帯。今なら多分、彼は食堂にいる。
立ち上がり、部屋から出ようとドアを開いて。
そこに、彼がいた。
今から傷つけてみようかと考えていた、彼が。
「……びっくりした…どうかした?」
「いや、昼食の時間だから…」
「誘いに来てくれたの?」
「……そんなところだ」
ぶっきらぼうな返事に、微笑む。
彼らしい言葉だった。照れ隠しだというのが、良く分かる。
「ありがとう。じゃあ、行く?」
「あぁ」
ドアを閉めて、自分よりも小さな彼の隣に。
歩調を同じくしながら、くすりと笑った。
やっぱり、無理だ。
さっき考えていたことは、彼の顔を見て、すぐに消えてしまった。
つまりは、自分もこのバランスを心地よく思っているということ。
それでは壊しようがない。
壊したくないのだから。
『つまんねぇの』
(……ハレルヤ)
『おもしれぇこと考えてるから、ちょっとくらいは手伝ってやろうかと思ってたのによ』
内からの声に、思わず苦笑する。
どうして自分が考えていることに対して、何も言わないのかと疑問だったのだけど……なるほど、そういうことかと納得した。
何も言わなくても、実行すると考えていたのだろう。
彼が言う、おもしろいこと、を。
(無理だよ。どうしようもなく)
『居心地がいいからか?』
(それも理由なんだけど…)
実は、あともう一つ。
「刹那、最近、よく表情が変わるね」
「…そうか?前と変わらないと思うが」
「ううん。そんなことないよ」
首をかしげる彼の、その頭にぽん、と手を置く。
「少しずつ、変わってきてる」
「……よく分からない」
言う彼だが、それはそうだというか…しかたないと思う。自分のことを自分で自覚するのは、とても難しいことだから。
近頃、そんな彼の緩やかな変化を見るのが楽しみなのだ。
変わっていく彼…その理由はきっと、今の環境。あの仲間たちとの触れ合いによるものが大きい。
だから……やっぱり無理だ。
「刹那、ありがとう」
自分には実行が不可能だと教えてくれた彼に礼を言うと、どういうことか分からないのだろう彼は、きょとんとこちらを見ていた。
なんていうか……静かな狂気、みたいのが書きたかったのかな。
アレルヤにも、こういう一面があってもいいと思うんだ。
色々、あったからね……