忍者ブログ
式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

1





1


 焼きたてのパン。
 飲み物の注がれたグラス。
 小さな皿に盛られたサラダ。
 用意されたバターにチーズ。
 それらが置かれたテーブル。

―――そして、眠っているアレルヤ。

 床に座り込み、壁にもたれかかって寝息を立てている彼を、現在のキッチンの状態を把握しながら、ティエリアは呆れて見た。

 今が朝ならば、この光景も分からなくはない。あり得ないということは無く、寝不足だったのかと考えることができる。彼の生真面目な性格はおいておく。それを考慮に入れたら、この状況は完璧にあり得ないので。

 だが……今は昼。しかも真昼。
 太陽が最も高い位置にある時間帯。
 ポカポカと暖かいから眠気は誘われるかもしれないが、彼は早寝遅起きの生活習慣持ち。あれだけ眠っていて、まだ寝足りないというのは……幼児でもあるまいし、そうあることではないだろう。

 これらのことから、どう考えても彼が眠りこけているような時間帯ではない。

 ……まぁ、この光景も毎日のことなので、昔のように驚くことは無くなってしまったけれど。

 とりあえず、ティエリアはテーブルの上にあったトレイ(鉄製)を手に取り、それでアレルヤの頭を力一杯叩いた。

 ごうん、という鈍い音が響く。

「…った!?」
「起きたか、アレルヤ」
「あれ、ティエリア……どうしてここに…って、あ…」

 さすがに痛かったのか、勢いよく飛び起きたアレルヤは、すぐに状況を理解したらしい。バツの悪そうな顔をした。

 それを一瞥し、ティエリアはくるりと体の向きを変えた。
 パンの、入ったカゴを持って。

「もう眠るな。俺は早く昼食を取りたい」
「うん……ごめん」

 彼を置いて進んでいくと、両手を彼が持っているパン以外の昼食の用意で塞いで、後ろからアレルヤが慌てて追いかけてきた。

 まるで……はぐれまいとする、子犬のよう。

 それの様子に薄く微笑みながら、ティエリアは足を速めた。

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
カウンター
プロフィール
HN:
式ワタリ
HP:
性別:
女性
自己紹介:
ガンダム大好き生物。キャラも好きですが、機体も大好きです。実は(?)、今は軽く三国伝にすっ転んでます。
最新CM
[09/28 ナワ]
[06/15 オシロマミ]
[11/02 banana]
[11/02 式ワタリ]
[11/01 犬っぽい]
最新TB
バーコード
ブログ内検索
フリーエリア
忍者ブログ [PR]