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また眠ってしまったことに申し訳なさを感じた。
この家で暮らして早、数年間。一体、同じことで何回、彼に迷惑をかけてしまったことだろう。このやりとりは毎日やっているから、少なくても300回以上は。
本当に、謝っても謝っても足りない。彼には住むところから衣類のことまで、さらには食事のことだって世話になっているから。
特に、食事。これで、とても世話になっている。
こればかりはどうしようもなくて、まさか、他の人に頼むわけにもいかないから……自然とティエリアに頼るようになってしまうのだけど。
何とかできるようなことではないが、少しは彼への負担を減らせたら……。
できもしないことに思考を巡らせ、答えを見つけられずにため息を吐く。
「どうかしたのか?」
「ううん、何でもない……って、ティエリア!前、前見てッ!」
ため息が聞こえたのだろう……歩みを止めたティエリアがこちらを向いたとき、アレルヤは進行方向から走ってくる、一つの影を認めていた。
その影は、まっすぐティエリアに狙いを定めていて……しかも、僅かだが敵意を発しており……正直、これはマズイのではと思った。
しかしアレルヤの両手は、昼食の用意でふさがっている。ティエリアを突き飛ばすこともできないし、ひっぱることもできない。
などと考えているうちに、影……いや、彼の拳がティエリアの後頭部を捕らえかけて。
そして
「……甘いな」
「うおっ!?」
カゴを片手に持ち直したティリアが、片手でその攻撃を受け流した。
受け流された方はバランスを崩し、見事なまでに…こけた。ずでんと、俯せに。
丁度アレルヤの足下に頭が来ている彼を、心配に思いながら見る。
「えと……大丈夫?」
「……んにゃろ、後ろ側に目でもついてんのか…?」
ゆっくりと身を起こした彼の顔は、アレルヤと全く同じもの。
それもそのはず。
彼は、アレルヤの双子の片割れ、ハレルヤ・ハプティズムだった。
くすり、と笑うと軽く睨まれる。
「笑うなよな」
「ふふふっ…ごめんね?」
完全に立ち上がった彼の、その様子がおかしくて、また笑ってしまう。
ハレルヤはやれやれ、という顔をして……それから、固まった。
何?と思って彼が見ているものを見ようと振り返り……納得した。
そこではティエリアが、冷笑を浮かべてハレルヤを見ていたから。
………第二ラウンドは、確定らしい。