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自分とアレルヤは双子で、吸血鬼。
といっても世間一般で言われているように、日に当たったからといって灰になることはないし、無条件で十字架を嫌うこともないし、鏡にだって影は映る。姿も性質も、ほとんど人間と同じ。普通の、野菜や肉といった食事も必要なところも。
だが「ほとんど」というだけあって、違うところもいくつかある。
例えば、一定期間内に人間の血を摂取しなければ、弱り切って死んでしまう。ウサギの血、というのはダメだ。必ず、『人間』の血でなければならない。
力の強い吸血鬼ほどその期間は長くなるらしい。人間の血に頼らなくても、自分自身の力である程度は何とかできるのだそうだ。最も強い吸血鬼は、五年に一回の吸血だけでも大丈夫なのだと聞いたことがある。
逆に、力の弱い物は期間が短い。それこそアレルヤのように、一日一回の給血が必要になったりするのだとか。ちなみにハレルヤは、一ヶ月に一回である。
まぁ、ハレルヤたちは人間と吸血鬼のハーフで、しかも彼の中の吸血鬼の血の半分を、どうやら母親の腹の中で、自分が取っていってしまったらしく(逆に、人間の血の半分が、自分からアレルヤの方へと行ってしまったようだ。つまり、差し引きは0)、実際には四分の一しか血がない。
そういう事情があるから、アレルヤの力が弱いのも仕方がないのかといえば、仕方がないといえるだろう。
……それから、主な違いとしてあと一つ。
吸血鬼は、人間と比べて遙かに力が強く、素早く動ける。
だから、人間と戦って負けるはずがないのだが……
「……何で、毎回勝てねぇんだ?」
「弱いからだろう?」
仰向けに倒れたまま呟くと、見下ろす視線が向けられる。
視線の主は、言わなくても分かるだろう……『人間』の、ティエリア。
人間よりは強いはずなのに……どうして、いつもいつも。しかも、今回は相手の片手がふさがっているというハンデつきなのに。異常な強さ、である。
倒れた状態のまま睨みつけると、軽く鼻で笑われた。
……何だか、酷く腹が立つ。
「…いつか、絶対ぶっ倒す」
「不可能なことを言うな。俺が負けるハズなど無いだろう」
……やっぱり、嫌なヤツだ。