忍者ブログ
式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

5


5


 片手でカゴを持ち、片手でハレルヤを引きずって食堂に入り……最初に目にしたのは、刹那の腕から口を離すアレルヤの姿だった。

 その様子に、少々不快感を覚える。毎日アレルヤに血を与えるのは、ティエリアのちょっとした楽しみなのに……いや、変な意味ではなくて、ただ単に絆が少しでも深まるような気がするから。

 だから、アレルヤにも無闇に他人に血をもらうなと、何度もきつく言ってあるが……そうだった。彼にとって、刹那は「他人」ではなかった。年の離れた弟分というか……そういえば。

 見ると、刹那がざまあみろ、という風に笑っている。

 ……そうか、確信犯か……

 ハレルヤの服から手を離し(ゴン、という鈍い音がしたが、気にしない)、つかつかと歩み寄って手刀を落とした。

 刹那にではなく、アレルヤに。

「いたっ!?」
「俺以外から血をとるな」
「それは理不尽な話ではないか、ティエリア・アーデ」
「刹那・F・セイエイ、君は黙っていろ」

 そもそもどうして、刹那はここにいるのだろう。単なる近所の住人であるだけの彼が。用事も何も、きっかけすら無いはずだが。

 訊くと、返ってきたのは「騒がしかったから気になった」という言葉。
 ……つまり、きっかけはハレルヤ、というわけか。

「ちょっと待て!テメェも原因だろっ!?」
「知るか。というか、勝手に人の心の声にツッコミを入れるな」
「入れたくもなる……ぶっ!?」

 頭に、どうしてだか大きなこぶを付けている彼は、起き上がるとギャーギャーうるさくまくし立ててきた。
 うるさかったので、何も言わずに彼の顔面を靴裏で蹴りつける。

 ふらり、と揺れて、それから再び倒れていくハレルヤを見て、少しだけ気分を良くする。何だかすっきりとした。

「ちょっ……ハレルヤ!?え、だ、大丈夫なの!?」
「アレルヤ、彼は眠たいそうだ。しばらくそっとしておいてやれ」
「……どの口で言う。蹴っていただろう、ティエリア」
「見間違えだろう?」
「見間違えって……そんな!?」

 何やら慌てているアレルヤに席に着くように促して、自分はとっとと座る。
 先にも思っていたけれど、ティエリアは早く昼を食べたいのだ。何故なら、もう三時……世間では、おやつの時間、と言われる時刻だったから。

 腹も、減るわけである。

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
カウンター
プロフィール
HN:
式ワタリ
HP:
性別:
女性
自己紹介:
ガンダム大好き生物。キャラも好きですが、機体も大好きです。実は(?)、今は軽く三国伝にすっ転んでます。
最新CM
[09/28 ナワ]
[06/15 オシロマミ]
[11/02 banana]
[11/02 式ワタリ]
[11/01 犬っぽい]
最新TB
バーコード
ブログ内検索
フリーエリア
忍者ブログ [PR]