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 ハレルヤが気絶してくれたお陰で、彼分の食事をもらえることになった。いくら昼食を取ってきたといっても、刹那はまだまだ成長期の真っ最中だ。ありがたくいただいた。

 まだ柔らかいパンを千切りながら、不思議に思う。
 なぜ、パンは焼きたての状態、そのままなのだろう。屋敷の主と居候が争っている間にでも、堅くなっていそうなものなのに。
 以前訊いたら、いつものことだと返された。この屋敷の中では、時間の流れが少々おかしくなるらしい。その理由を、どうやらティエリアは知っているようだが……残念ながら教えてはくれなかった。

「……そういえば、噂は聞いたか?」
「噂?」

 コトリ、とグラスを置いて、ティエリアがこちらを見た。町ではもちきりの噂を、やはり聞いたことはないらしい。普段から外に出ない彼だから、そのことは実に納得できた。
 よく町に来ているアレルヤはというと、キョトンとこちらを見ていて……どうやら、彼も知らないらしかった。

 いくら何でも知っていると思っていたが……危機感が無さ過ぎだ。これは彼らに……特に双子には、とても関係のある話だというのに。念のために、訊いてよかった。

 まぁ、これは別にこの三人だけに関係する話ではない。この町全体の話、だろう。
 この町にはそういうヒトビトが多く住み着き、人々と共存しているから。
 だからこそ、町でも口々に話されているわけだが。

 ため息を吐いて、刹那は口を開いた。

「都から『狩人』がくるそうだ」
「何?それは本当なのか?」
「間違いない。スメラギ・李・ノリエガからの情報だ」

 頷いてみせると、ティエリアは厳しい表情を浮かべた。ことの重要性をよくよく理解している証拠だ。

 それに安心してちらり、とアレルヤの方を見ると、彼は真っ青になっていた。
 無理もない。彼に……彼らにとって「狩人」というのは、恐怖の対象でしかないだろうから。

 彼の双子にも伝えるべきなのかもしれないが……それは止めた方がいいだろう。ハレルヤに聞かせたら、是隊に彼は先手を打ちに行く。そんな危険なことをさせるわけにはいかない。何かあろうものなら、アレルヤが酷く悲しむだろうから。
 だから、これは刹那のちょっとした配慮だ。

 だが、不安が無いわけではない。
 何事も……なければ、いいのだが。

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