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いつまで経っても起きそうにないアレルヤを、彼の寝室に運び込んでベッドに寝かせる。ちなみに、刹那の力は借りていない。これは毎日毎日繰り返されている行動なので、すでに慣れていたし、それを簡単にできるほどの力もついている。
規則正しい寝息を立てる居候を見下ろし、ため息を吐いた。
「今日は……もう起きないな」
「……分かる、ものなのか?」
必要もないだろうに……勝手についてきた刹那が、不思議そうにアレルヤの寝顔、それから自分の顔…と、交互に見る。
ティエリアはベッドの縁に座り、眠っている居候の髪をなでつけて、それから口を開いた。
「ここに運ぶまでに、一度も身じろぎをしなかった。そういう時は大体、起こしても起きない。おそらく、すぐ近くで火がおころうと目を覚まさないだろうな」
「それは……いつも、か?」
「その通りだ」
パターンがはっきりとしているのは、こちらとしても対策を立てやすくて助かるというか……いや、最善なのは彼がもっと、ちゃんとした生活のリズムをとれること、なのだけれど。
……無理だろうな。
ティエリアは、ため息を吐いた。
いつも彼の寝顔を見ることができるのは、実に喜ばしいことでは……あるのだが、問題がないわけではないから。
この屋敷が、ちょっと変で良かった。食事の準備は基本的に彼だから。ヘタをしたら、冷めたスープを飲んだり、固いパンを食べたり……していたかも、しれない。彼のこの睡眠は不定期に行われるものであり、冗談抜きでそうなる可能性もあったわけだから。
そう思い……その、屋敷で起こる全ての奇妙な、超常現象たちの原因のことを……邸の地下にある、大切なもののことを、想った。