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「銃は構えたままでいいぜ。俺の方が強ぇんだから、そんくらいしとかねぇと、気が着でもないんだろ?」
「お前は……」

 困惑気味の男の様子に、ハレルヤは心の中で苦笑した。自分も、敵に同じようなことをされたら、きっと似たような表情を浮かべるだろうから。どうしてこいつは、こんな危険なことをするのか、と。

 それでもするのは他でもない、アレルヤのためだ。生かしておいても害がなければ、彼を悲しませないためにも放っておく。
 しかし、そうでなかったとしたら……言うまでもない。こちらに危険が及ぶ前に手を打たせてもらうだけだ。

「テメェは都から来たのか?」
「……違う」

 答えながらも、男の指は引き金にかかっている、警戒は、といていないようだった。まぁ……当然の反応だと言えるだろう。

 実際は、そんなことはどうでもよく、答えるのならそれでよかった。銃は確かに驚異ではある。だが、この距離ならば、彼が引き金を引く前に自分が動ける。人と、ヒトとの反射能力の差は、それこそ歴然として両者の間に横たわっている。

 それを、この男は果たして知っているだろうか?……いや、知っているだろう。それでもなお銃を構えるのは、狩人としての意地か。あるいは……腕に自信があるのか。

「じゃあ、あの噂とは別もんか……確認しとくが、テメェは『狩人』だよな?」
「見れば分かるだろ?」
「……そりゃ、そうだな」

 殺していた気配を、わざと表したときの反応。それに、今現在の様子を見れば、確定したも同然だった。それでも訊いたのは、一応の確認のため。殺した後で間違ってました、というのは正直、笑えない話だ。

 とりあえず彼が『狩人』ならば質問はあと、一つだけ。

「テメェにとっての『異端』は?」
「狩るべき相手だ」
「どんなに弱く、優しく、愛すべき存在だとしても?」
「そんな『異端』なんているかよ。全員、狩るだけだろ」

 どうしてそんなことを訊くのか、と不思議そうな表情をする彼が、しかし瞳には暗く激しい憎悪の炎を宿しているのを見て取り、ハレルヤはため息を吐いた。

 あぁ、結局……アレルヤを悲しませることになりそうだ。

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