[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
19
互いに固まってしまった居候と客を見て、とりあえず二人が顔見知りだというのは分かったが……状況において行かれた感があり、少し不愉快な気分になる。
だからとりあえず、ハレルヤの後頭部を殴っておいた。
もちろん、パーでなくグーで。
客の方が唖然とした顔でこちらを見ていたが、気にしない。そんなことよりも、今はこの、自分のイライラを納めるのが一番だ。
「……っ!?テメェ。人の頭を何だと……っ」
「居候の身で何を言っている?」
「居候とか養ってるヤツとか、もうそんなの関係ねぇレベルだろ!?」
「文句があるなら出て行くといい。あぁ、もちろんアレルヤは置いていけ」
「ざけんな!誰がそんなことするかッ!」
いつものやり取り。
……なのだが、客は未だに驚きの表情を浮かべたままだ。
「……なぁ、アンタは人間……だよな?」
「見たら分かるだろう」
「いや、分からないから言って……いや、いい。ていうか、ソイツが『異端』ってことは?」
「知っているに決まっている」
そんなことも知らない相手を家に住まわせるほど、自分は警戒心を持っていないわけではない。それ以前に、彼らとは子供の頃からの付き合いだ。知らないわけがなかった。
「なのに殴れるのか……?」
「あぁ…『異端』は人間より強かったな。そういえば」
つまり、この男はそういった人とヒトとの能力差を考えているらしい。一応『弱い』側である『人間』が、どうして素手で『異端』を平気で殴るのか。それが分からないようだ。
それはある意味で常識ではあるが……。
「……くだらないな。どんなに強かろうと、根っこさえ押さえれば問題ない」
「んなことしなくても、テメェは十分驚異だってーの…」
「フン、人間の俺が怖いのか?…それより、お前は彼と知り合いのようだが」
「あー、コイツ『狩人』。都からのとは別口の。さっき会ってきた」
言いながら、どうする?と目で訊いてくる彼に、少し待てと伝える。
泊めてしまえば、アレルヤにも危険が及ぶかもしれない……というか、どうしてハレルヤは狩られていないのだろうか。タイミングを外したとか、そういう話、なのかもしれない。いっそのこと、狩ってくれれば良かったのに。
……話を戻そう。
だからといって、泊めなければ後味が悪くなる。ここで断れば、彼は野外で野宿か……あるいは、町の親切な人に泊めてもらうか。だが、後者はなかなか難しいだろう。この町の特色と、彼の生業からして。
さて、どうするべきだろうか?