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「……誰だ?」
「客だ。職業は『狩人』だそうだ」
その言葉に、表情が厳しくなっていくのを感じる。
ティエリアの後ろにいる男を、一目見たときから嫌な感じはあった。なんというか……そう、雰囲気に引っかかりを覚えていた。
彼の纏う雰囲気は、この町のものとは相容れないように思えたのだ。
答えを聞けば、なるほどと納得はできるが……
「俺は反対だ。ハレルヤはともかくアレルヤが危ない」
「刹那・F・セイエイ、その気持ちは分からなくもない。だが、アレルヤを危険にさらす……俺がそんなヘマをするとでも思っているのか?」
「しかし……」
ティエリアは、こういうことに関しては信頼が置ける。それは認めよう。
だが、危険は少しでも遠ざけるべきではないだろうか。
近所に住んでいるだけの刹那ではあるものの、アレルヤを好きだと思う気持ちは、二人には負けていないつもりだ。心配をする心だって。
だからこその、この躊躇いである。
「……そのアレルヤってのは『異端』みたいだが……人気者なんだな」
ふいに、男が口を開いた。
ちらりとそちらに目をやると、彼の顔には苦笑が。
「心配すんなって。よっぽどのことながければ、事はおこさない……少なくとも、この屋敷の中ではな」
そう笑う彼が、どこか辟易しているように見えるのは気のせいだろうか?
どういうことかと考えて、一つの可能性に至る。
すぐに戻ると言ってどこかに行ってしまったらしいハレルヤも、関与しているとは思うが……ここにいるのはティエリアだけ。
というわけで、刹那はティエリアの方を見た。
「ティエリア・アーデ……ここに来るまで、一体どれほど話をしたんだ?」
「話?……あぁ、アレルヤの話か?終始ずっとだが」
……それでは、確かに狩ろうなどと思わないわけだ。そんなに大切にされている存在に傷を付けたら、二人がどうするかは見当がつく。
ちょっとだけ、男に同情する。本人に会えるのならば幸運だろうが、他人から話を聞くだけというのは、さぞかしツライものだろう。
お陰で彼のやる気が削げたというのなら、それは良かったと言うべきだろうけど。
「自己紹介がまだったな。俺はロックオン・ストラトスだ」
「……刹那・F・セイエイ」
差し出された手を握りながら、思う。
……今日は泊まっていこう。不安だから。
その時、再びドアが叩かれた。