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見つけた最愛の妹が、呆然と「この町には手を出さない方が……いいかも」なんて言い出したのは、とても驚きだった。
どうしてかと訊きたかったが、まずは宿を取らなければという兄の一言で、町に入っていくことになった。
……のだが、なんとこの町には宿は無いのだそうだ。
大量の丸っこいのと一緒にいたピンクの髪の子供が、大きな館に行けばいいと、それに加えて話してくれた。そこが一応、宿の代わりになっているらしい。
何かを探していた様子の彼女に礼を言い、言われた館に行って……出迎えの眼鏡をかけた人間に出会った。
一瞬、女かと思い、ついつい思ったことをそのまま口にしたら顔面を殴られた。パーでなくグーで。人間か?と疑問を感じるほど、それは痛かった…。
そしてその後。
「なっ……どうしてアンタがここにいるのよ!」
「俺はここの居候。ってか、テメェも来たのかよ……」
通された客間らしい部屋にいた、三人のうちの青年を指さして、ネーナが叫んだ。
さされた本人は、面倒そうにこちらを見、それから茶髪の男の方を見てハァ、とため息を吐いた。
「イザコザ……起きるわな、これじゃ」
「それはどういう……?」
少年が問うように青年へ視線を向けたが、答えはなかった。
おそらく、それは答える必要もなくすぐに分かることだったからだろう。
例としては……そう。兄が、驚きの表情で固まっていたこと。
それから、茶髪の男がガタン、と音を立てるくらい勢いよく立ち上がり、唸るような声を上げたこと。
「ヨハン・トリニティ……!?」
「……驚きました。奇遇ですね、ロックオン・ストラトス。まさか貴方に会うとは…」
ヨハンと男の間に、どこか張り詰めた空気が出現する。
それは……殺気。
「兄貴!?一体どうしたんだ!?」
「ミハエル……彼は名うての『狩人』だ」
その言葉に、ピンと背筋が伸びた。
敵……『狩人』。気に入らない連中。
彼がそうだというのなら、殺してしまうに限る。
「お前たち、止め……」
眼鏡が怒鳴りかけたその時。
部屋のドアが、開いた。