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「ア……アレルヤ!?」
「バカなっ!今日はもう起きないはず……!?」
入ってきたのは大切な、大切な半身だった。
有り得ない……というほどのことでもないが、今までのパターンが崩れたことに、とてつもない驚きを覚える。ティエリアも同様の様子で、目を見開いている。
……が、よくよく見れば、彼はまだ起きていないようで。
「寝ぼけてんのか…?」
「どうやら……そうらしいな」
パターンを知るもの同士、妙に納得する。そう簡単に、十数年の観察から導き出した公式を崩されたりは、するはずがなかった。
しかし知らない他五名は、何が何だか分からない様子だ。目を白黒させるとは、おそらくこのことを言うのだろう。
ここに来たのは、どうせ人恋しかったんだろ、眠ってるくせに……などと思っていると、入り口当たりにいたはずの彼は、いつの間にかハレルヤの前に来ていて……そのまま自分の方へ倒れ込んできた。
「……おい?」
「……ハレルヤ…」
呼びかけに返事は返ってきたが、これは……寝言だろう。
アレルヤは、また熟睡を始めたようだ。表情は穏やかなものだ。
そのことに苦笑して、それからふと、部屋の中の空気が変わっているのに気づく。
空気は、先ほどの張り詰めたものから……どこか、間の抜けたものへと変わっていた。
気持ちは……分からなくもなかった。
とくに、ロックオンとヨハン、という名前らしい二人には同情を禁じ得ない。せっかくのシリアスシーンが台無しだ。
ある意味良いタイミングで入ってきたと褒めるべきか、もっと空気を読めと呆れるべきか、あんな寝ぼけた状態でよくここまで来たと感心するべきか……。
と、ここで、ハレルヤは自分に向けられる二つの殺気を感じた。
それらを発しているのが誰かは、確認するまでもなく分かる。理由はおそらく、アレルヤとくっついているからだろう。
けれども気にすることもなく、ハレルヤは半身を肩に担ぎ上げて立ち上がった。
……こういうとき、アレルヤの体重が普通よりは軽めで助かると思う。原因の一つとして、不定期に起きる睡眠によって食事が途切れたりすることがあるのは、この際目をつぶろう。
「コイツ、運んどくぜ」
「俺も行く」
「俺もだ」
「ガキの方は勝手にしろ。眼鏡、テメェはここの主人だろ。客の相手しとけ」
腰を上げた刹那を一瞥し、こちらへ来かけたティエリアを泊めて、ハレルヤは部屋を出た。