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出て行く二人と担がれている一人を見送り、ふと客人たちを見ると、彼らはどうしてだか呆けた表情を浮かべていた。一体、どうしたというのだろう?
「……アレルヤって、男だったんだな……」
「当然だ。それがどうかしたのか?」
「当然てな……お前らが『可愛い』連呼するから、てっきり女かと思ってたんだよ」
可愛いのが女という、その先入観は分からなくもない。が、本当のことなので仕方はないではないか。容姿はむしろ格好良い部類に入るとは思う。しかし、間違いなく性格だけは『可愛い』のだ。まぁ、背丈の高い男に使うような形容詞でないことは分かっている。
ロックオンの方の理由は分かった。では、トリニティたちはどうしてだろう。彼らにはアレルヤのことは一言も話していないから、さっきの『狩人』の答えと被ることはないhずだが。
何故なのだろうと思って、よりしっかり見て気づく。三人が三人とも、呆けているわけではなかった。
「……なんか、アレルヤっていうアイツ、いいかも……」
「ミハエル!?」
「ちょっと、ミハ兄!相手は男だってば!」
正確に言うと一人がぼうっとしていて、二人が慌てている。
どうやら次男が、アレルヤに一目惚れしてしまったらしい。
……何か、気にくわない物がある。
ティエリアは黙って彼の傍へ行き、無言のままに背中を蹴りつけた。もちろん靴裏でだ。
「ってえ!?テメェ、何しやがる……っ」
「別に。深い理由はない」
「ケンカ売ってんのか!?あぁ!?」
「そういうわけではないが」
……全く、どうして最近の人間はこうも落ち着きがないのだろう。あぁ、そういえば彼は人間ではなくて『異端』だった。関係はないだろうが。
などと思いながら、ティエリアは素早くミハエルから距離を取った。
「刃物を使おうとするのはいただけないな」
「……!」
ミハエルが、服の内側へと伸ばしていた手を止めた。目は驚きに見開かれている。どうして気づいたのか、と問いかけるようにも見える。
確かに自然な動きではあった。が、気づけないほどの物でもない。少なくともティエリアにとっては。ただ、それだけの話だ。
見ればヨハンもネーナも気づいていたようだし、ロックオンは言わずもがな。自分ができたところで不都合も不自然さもないだろう。
それは置いておくとして、これからのことがとても心配になる。
見る限りでは多分、ミハエルとハレルヤは水と油だ。