[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
31
……有り得ない。
それが二人の姿を見ての一番最初の感想。
誰が想像できるだろうか。
『狩人』と『異端』が楽しそうに笑い合っているなんて。
しかも、一緒に朝食の準備をしているなんて……前代未聞に違いない。普通の人間とならいざしらず、どうして天敵と……。
食堂の入り口に立ってそんなことを思っていると、こちらに気づいたらしい。アレルヤが軽く手を振った。
「刹那、おはよう」
「あぁ。それより……この状況は?」
「昨日ちょっとあって、お話をしたんだ」
いや……それだけでここまでの雰囲気になるわけがないだろう。相手は天敵だぞ天敵。どこぞの絵本のように、互いの正体を知らないままで話していたのだったら、まぁ、あり得ないとも言い難かったかもしれいないが。
ふと、ロックオンが自身の正体を隠しているのでは、と思った。が、それはないだろうと打ち消す。少ししか会ってないし、そもそも全然話してさえいない気もするが、そういうことはちゃんと言う人間に見えるから。
ということは、本当に仲良く……?
疑いの目で見ていると、ロックオンが困ったように苦笑した。
「色々、教えてもらったんだよ。なぁ?」
「そんな……僕、大したことは出来なくて……」
「いや、大切なことを気づかしてくれた。ありがとう……アレルヤ」
「ロックオン……」
何だこのムードは。
見ていて酷くイライラする。突然現れたくせに、どうしてここまで仲良さげなのだ。気に入らない。
けれどもその感情は顔には出さず、照れているらしいアレルヤの方を向いて口を開いた。
「昨日は部屋に帰らなかったと聞いたが」
「あ。僕ね、昨夜、話してる途中で眠っちゃって」
「コイツの部屋分かんなかったから、俺の部屋に運んだんだよ」
……刹那の中に『殺意メーター』があるとしたら、今は確実に振り切れている状態だ。無理に測定するとしたら……200%くらいか。
ロックオンにとっては幸運、自分にとっては不運なことに、この場にティエリアとハレルヤはいない。いたら、三人がかりで八つ裂きに出来るのに。
実に、口惜しいことだ。