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そういえば、と刹那が呟いた。
何だ?と見ると、彼はアレルヤの方を向いている。
「今日は当然、まだだな?」
「え……あ、うん。まだ朝早いし」
「飲め」
言って、刹那が腕を上げた。
どういう状況か全く理解できずに困惑していると、さらに戸惑うことが起こった。
アレルヤが、慌て始めたのだ。
「だ……だめだよ!二日連続なんて……っ」
「ティエリア・アーデはいいのか?普段はいつも、アイツから貰っているのだろう?」
「うっ……それはそうだけど、でもさ…」
……少し話を聞けば分かるかと思ったが、逆にワケが分からなくなった。何を話しているんだ、本当に。
考えてもどうしようもないので、素直に訊くことにする。
「俺、話について行けないんだけど」
「ついてこなくていい。お前には関係ない」
無愛想に返されてしまった。
思わず苦笑する。彼の考えていることは、アレルヤへのなつき具合から考えると一つしかない。
「ちょ……刹那!?そんなこと言ったら駄目だよ!」
「コイツだから言い。そういうことをされるキャラに見えるからな」
「何それ……えっと、ロックオン、僕が『異端』なのは理解できてますね?」
問われ、こくりと頷く。だからこそ、少しの間でも彼のことを狩ろうかと考えていた。
今では……あれが、どんなに愚かしい考えだったか、よく分かっている。
「んで?」
「僕……吸血鬼の『異端』なんです。しかも、とびきり力の弱い」
困ったように笑う彼を見て、納得する。
確か、吸血鬼は血を吸わないと生きていけないのだった。しかし、アレルヤの性格では……生死に関わりがあろうと、その行為に躊躇いを覚えるだろう。
刹那の場合は二日連続だというから、尚更。
ならば、簡単な話だ。
「俺の吸えば?まだ吸われたことないしな」
「え?」
「……は?」
ロックオンの提案を受けて……だろう。
二人が、ぽかんとした表情をしてこちらを見てきた。