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じゃないと、絶対に分かりません。
02.歪んだ鍵
散歩の途中で、少女とも少年ともつかない子供に会った。
その子は扉の前にいて、鍵穴に鍵を差し込もうと必死。
どうしたんだろう?
思って、アレルヤはその子の所に行った。
何をしているの?
訊くと、その子は驚いてこちらを見たけれど、すぐに普通の表情に戻った。
「鍵が差し込めないんだ…」
声から、その子が男の子だと、やっと分かった。
「鍵が開かないと、扉の向こうに行けない……」
言いながら、涙目になっていく彼。
慌てて、大丈夫?と背中をさすってやる。
こういうときは、何も言わない方がいい。事情も何も、分からないから。
落ち着いてもらって、全てはそれから。
「……すまない」
謝る彼に、気にしないでと返す。
謝られるようなことをされた覚えはなかったから。
背中から手を離して、目を合わせて。
改めて、どうしたの?と、訊いた。
「この扉の向こう側に大切な物があるんだ……」
なのに鍵が入らないで、扉が開かなくて、それで困っていたらしい。
「行きたいのに……行かないといけないのに……」
ふい、と扉を見る。
それは、とても古い扉。木製の、叩けば壊れそうな。
つい、と鍵を見る。
それは、とても古い鍵。鉄製の、歪んでしまっている。
多分、開かないのは鍵のせい。
なら、直さないと。
そう思って、微笑んで、彼の手から鍵を借りる。
「何をするんだ?」
どうやら、彼はこの世界に関しては素人らしい。
それなら、先輩なのだし…ちょっと、教えてあげよう。
彼の手を鍵の上に乗せてやって、直るように祈ろうと、そう言った。
「祈る…?それで直るのか……?」
訝しげな少年に頷いて見せて、それから瞳を閉じる。
直りますように。ただ、それだけを願って。
しばらくして、目を開ければ、そこには鍵の姿。
歪んでいない、きれいな姿の鍵。
「……直った」
呆然としている彼に、もう一度笑いかける。
言ったでしょう?直るって。
さぁ、鍵をさしてみて。きっと開くから。
そう話しかければ、少年は素直に鍵を差し込んだ。
回してみれば、カチリ、という音が。
ギィィ、と音を鳴らして扉が開く。
ね?できたよ?
「……そうだな……ありがとう」
笑みを浮かべてそう言った彼は、扉の向こうへ歩いていった。
機械だらけの丸い、赤い光の溢れている場所へ。
扉が閉まってから、また、アレルヤは歩き出す。
次は、どんな人に出会うのだろう?
今回会ったのは誰だったでしょう?
答えは……ティエリアです。
気になる方は、反転お願いします。