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なんで夏はこんなに暑いんだろう。
という思いとは関係ないお話です。今回は夏侯惇がメインでありましたり。
正直、玄関ドアを開いた先にどんな光景が待っていようと、自分ならばすぐさま我に返って対応できるものだと思っていた。
たとえリビングへ通じる廊下に血の跡がついていようと、見える範囲にある家具という家具が壊され倒され使い物にならなくなりかけていても、そもそも開くための玄関ドアが無くなっていたとしても。まぁ、流石に一瞬ぐらいは思考も動きも止まりはするが。
ともかく、そんな自負があったのだ。
けれども今、リビングの様子を見て、その自負は見事なまでに崩れ去っていた。
何せそこには、二人の子供がいたのだから。いや、正確には、子供サイズの二つの小さな後頭部が見えた、なのだが。
唖然としたまま、夏候惇は、ソファーにぐったりと座りこんでいる、本来の同居人に声をかけた。
「曹操……そいつらは、何だ? 何があった?」
「……片方は押し付けられた。片方は知らん、呂布に聞け」
つまり、片方は曹操が連れて帰り、もう片方は呂布が連れて来たという事か。
どっちをどっちが連れていたのだろうか、などと考えながら、ソファーに歩み寄る。最初の衝撃が抜けかけているのか、あるいは少し言葉を交わしたからか、若干頭は回るようになっていた。
「じゃあ、お前が押し付けられたってのについて訊くが、誰にだ? 袁紹か?」
「アイツにだったら倍返しで加減なく投げ返す。……劉備だ」
「……アイツは今日はスーパーでバイトだろ?」
それがどうして曹操に子供を押し付けることができるのか。彼の働いているスーパーは曹操がよく利用する店なので、彼らが顔を合わせる事は有り得るにしても、子供がそこにいたとは……バイト先に子供を連れて来ていたと言う事なのだろうか? だとしたら、一体誰の子なのだろう?
ソファーの後ろで立ち止まり、首を傾げると、曹操がちらりと子供の方に視線を向けた。
それにつられるように視線を動かして、彼が見ている子供を見る。
もう片方にも言えることだが、随分と大人しい子供だ。騒ぎもしないし暴れもしない。
ただ、何と言うか、少し、信用し辛い、ような感じがする。初対面なのだからそれもまた当然と言えば当然だろうが、しかし、この感情はそういうものとは無関係である気がしてならない。
何故だろうかと考えるうちに、誰かに似ているからだ、と思い至ったが、では誰なのだろうか……と考え始め掛けたところで、曹操が口を開いた。
「これは商品だった」
「……は?」
思わず、呆けた声を上げる。
それには何も言わず、彼は淡々と言葉を続ける。
「スーパーで売られていた」
「……これが?」
子供だろう?
とは言わなかったが、彼はしっかりとその辺りの疑問をくみ取ったらしい。
呆れた様な困った様な、そんな表情で息を吐き、言った。
「どうやらこれは、人間ではないらしい。分類すれば、人形、に当てはまるという事だ」
「……いやいや、どう見ても人間だろこれは」
「俺もそれは思った。それに、二人も呂布はいらないと拒否したんだがな……結局、割引するからと劉備に押し切られた」
最終的に9割引きになったぞ、などと彼は言うが。
人間だ人形だ、などという内容よりもとんでもない言葉が今、耳に飛び込んできたような気がするのだが気のせいだろうか。
呂布が二人。
言われてみれば確かにその子供は呂布に似ていた。誰かに似ているとは思ったのだが、すぐに思い至ることができなかったのは、年齢差故のことだろうか。同一人物だろうと幼少期と青年期では顔が全く同じであるわけがないし、雰囲気だって違うだろうと、つまりはそういうことなのだろう。
ではもう片方はどうなのかと、呂布が連れて来たという子供の方へ軽い気持ちで視線を向けて……固まった。
そして思う。どうしてこちらの子供に意識を向けてこなかったのか、と。もっとも、向けていたら向けていたで、またもや呆然としていただろう事は明白なのだが。
何せ、その子供は、曹操にそっくり過ぎたのだから。
……呂布は一体この子供をどこから連れてきたのだろうか。
疑問は尽きないが、今、最も気にするべきはそこではない。
額に手を当て嘆息しながら、答えは分かり切っているものの、尋ねる。
「で、どうすんだこいつら」
「経緯はどうあれ、引き受けたものは仕方がない」
と、腕組みをして曹操は返してきた。
「少なくとも、今後の見通しが立つまでは面倒をみるぞ」
「……まぁ、そうなるか」
となると、さらに同居人が増えると言う事なのか。
これ以上は増えないでくれよと、夏候惇は心の底から願った。
これ以上増えたらマンションの部屋的な意味でもつらいですしね。
というわけで家に来ましたちびたちとご対面な夏侯惇でございました。
ちなみに、呂布はちびそそさまを連れてきて、置いていって、また出かけて、今は外で暴れてる最中です。
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