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紫紺野牡丹(シコンノボタン)
花言葉:平静
平静、って出そうとすると、どうしても真っ先に「平成」が出てくる漢字変換の不便さよ。
今回はSD-Xです。ですですです。闇の魔術師と死神さん。
いつかいろんなデスサイズを集めてデスサイズ懇親会とか……いや無理か。無理だな。
02:紫紺野牡丹 (シコンノボタン/平静)
彼の周りだけは今日も平和だ。
ベッドの上で気持ちよさそうに寝息を立てている死神を見下ろし、闇の魔術師は小さく息を吐いた。
傍らに開きっぱなしの本があることから、それを呼んでいる最中に眠気に襲われ、眠ってしまった、というところだろう。それは、別に良い。城にある本を読むなとは言っていないし、昼寝をすることも禁じてはいないので、それらを理由に文句を言う事は無い。
ただ唯一問題があるとすれば、それは彼が寝ている場所。
「人の部屋で爆睡は無いでしょう、普通……」
残念ながらここは死神の部屋ではなく、闇の魔術師の部屋なのだった。
果たして、この死神は自分のことを何だと思っているのだろう。ベッドの縁に腰掛けながら、眉を寄せる。彼を召喚してしまったうっかり屋か、はたまた、どこぞのTとコンビを組んでいる漫才師か……勿論、本当にそんな風に思われているとは考えていない。ただ、似たり寄ったりの認識ではあるのではないかと考えてはいる。
例えば、そう……「闇の魔術師は無害な存在である」だとか。
それはあんまりにも馬鹿げた話である。この国がどこかおかしいことは、外から来たこの死神とて感じているはずだし、そんな王国で王を名乗る愚か者の配下が無害であるわけがないことも、重々承知しているだろう。
なのにどうして、どうぞ縊り殺して下さい、と言わんばかりの無防備さを見せることができるのだろうか。正直、理解に苦しむところである。
実際に首を絞めてみてやれば、多少は危機感を持つだろうか。
そう思い、腕を上げ。
「……止めましょう」
やっぱり下ろした。
考えて見れば、そこまでして教えてやる道理は無い。いざという時に自分に裏切られるなりなんなりされて、痛い目を見て実感すればいいのだ。自身の考えの甘さというものを。
そう結論付けて、死神の傍らの本を開いたまま取り上げる。
彼が起きるまでまだもうしばらく時間があるだろうから、それまでは読書で時間を潰そう。そうして、彼が起きたら直ぐに、勝手に人のベッドを使った事に対する文句を言ってやるのだ。それぐらいは許されるに決まっている。
そう思いながら死神の方を改めて見れば、その寝顔はこの国には似つかわしくない程に穏やかなもので、呆れて思わず、苦笑した。
降って湧いた穏やかさを削除することを後回しにする闇の魔術師の話を書こうと思ったんだけれども。思ったんだけれども……。
今度はT様とポーンリーオーも混ぜてわーわーしてもらいたいものです。