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 裂け目を通り、フェルトとソーマがティエリアの屋敷、その玄関前にたどり着いたとき、そこは不思議な静けさを纏っていた。人の気配が、無いのだ。

 どういうことかと予想外の状況に困惑していると、かって知った様子で金色の瞳の少女が扉を開いたので、少し迷ってからフェルトも中に入った。彼女はもう、この屋敷の住人の一人(仮)の様な扱いなので、彼女が良いというのなら良いのだと思うことにする。

「本当に、誰もいませんね」
「出かけたのかな……」
「……どこにでしょうか?」
「さぁ……」

 分からない以上、首は横に振るしかない
 ソーマはそんな自分の様子を認め、溜息を吐いた。

「でしょうね。私にも皆目見当が付きません」
「もしかして……いなくなったみんなの所?」
「まさか。場所を知り得るハズが……いえ、あるいは……」

 彼女には『手段』に心当たりがあったらしい。はた、と思いついた様子を見せての地、考え込む素振りを見せた。こういうときは、そっとするのが一番だろう。

 暇なので屋敷内部を観察していると、ふいに、細い糸のような存在を感じた。
 それは実際は『糸』ではなく、とても細い力の繋がり。

 誰かと誰かが、その『糸』で繋がっているという事は即ち、誰かが掛けた魔法に誰かがかかっていると言うこと。しかもそれは、その対象にのみ効力を与えるようにとされる、そんな能力。あくまで、無差別に相手を襲えるような力ではなくて。

 思考に没頭しているソーマを置いて、フェルトは糸の先のある方へと行く。何か問題があるのなら確認は必要だし、何もなかったとしても見てみることは大切だ。

「…フェルト・グレイス?どうかしました?」
「誰か、魔法にかかってる人がいる……」
「ティエリアがいないとして、いるとしたらヨハンか…あの二人ですけど」
「…あの二人?」
「逃亡者、だと言っていました」

 こちらの様子に気づいた彼女と共に、一つの扉の前で立ち止まる。
 そこから、確かに『糸』が出ていた。

「あぁ……確かに。細すぎて気付きませんでした」
「ここには……誰がいるの?」
「先ほど言った逃亡者。捕まっていたところ、隙を見て逃げてきたそうです」

 ということは、逃亡者という人たちのどちらか、あるいは片方が魔法を掛けられているということになる。掛けたのは、捕まえていたヒトの誰かだろう。

 一体何の魔法を掛けられたか。さすがにそこまでは知りようがない。
 本人たちに訊くのが一番だが……果たして掛けられたという事実に気付いているかどうか。場合によっては自覚無し、ということも有り得る。

 まぁ、訊いてみれば分かること。
 そう思い、フェルトは扉を開いた。
 

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