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102


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 町から出て行ったソーマを見送って、沙慈たちは高い時計塔に向かっていた。
 そこは町長がおり、一応自分たちがここにいるということを話しておこうと、そういう話になったのだ。ルイスの件があったので、事情を知っているメンバーのほとんが外へと行ってしまった以上、他の誰かに話して味方になってもらう必要があるという考えの元で。

 沙慈に異存はなかった。様子を見る限りルイスも同じようだったので、フェルトの申し出を快く受諾した。ただし、その人以外には話さないという条件で。味方は必要だが、あまり事を大きく、話を広く広げる、そんなことはしなくても良いはずだ。

「……そういえば、ちょっと聞きたいんですけど」
「何?」
「あの屋敷って住んでるのは三人だけ、なんですよね」

 そして、その三人はティエリアという人、ハレルヤというヒト、アレルヤというヒトらしい。ソーマに聞いたり、フェルトに聞いたりして、そこの知識は得た。

 ……名前のことは良いとして、問題は年齢の方。話を聞く限りでは、屋敷の主のティエリアは未成年。同居人の双子は成人したてらしい。

 気になっていたのは、どうしてティエリアが『主』なのかということ。まだ未成年だという彼が、一体どうしてそのような立場にいるのか。普通、親がまだ屋敷の主として存在していると思うのだが……。

「ティエリアさんが、どうして屋敷の持ち主なんです?親御さんとかは…」
「ティエリアの、両親…」
「あ、僕……訊いちゃいけないこと…訊きました?」

 考え込む様子のフェルトに、慌てる。事故で既にこの世にはいない、ということだって有り得るのだ。屋敷の管理が嫌になって子供に押し付けて出て行った、などということも、無いことは無いだろう。

 あまりに無神経な質問だったろうか、と反省していると、横から咎めるような視線。ルイスも沙慈と同様に考えたらしい。もっとしっかりしてよ、という目にゴメンよ、と答える。次はもっと考えるから、と。

「あの……」
「……ごめん。思い出せない」
「へ?」

 何でもないように答える彼女に、拍子抜けする。どうやら何でもない話題だった様で、それは喜ばしいことなのだが……思い出せない、というのは。

「それは、あまり交流が無かったってことですか?」
「うん。確か……十年くらい前から、ティエリアの両親はいないよ。アレルヤとハレルヤの両親も、丁度その頃にいなくなった…ってイアンさんが言ってた。私は四歳だったから、あまり記憶に残ってないんだと思う」

 だから、詳しいことはスメラギさんにでも訊いて。
 そう言うフェルトに、沙慈は少し迷ってから頷いた。

 どうして出て行ったのか、興味があった。
 その頃は未成年だったろう三人の子供を放り出して……一体、どのような事情があったのだろうか、と。

 もちろんプライバシーに関係することだ。全てを聞きだそうとは思っていない。ただ、表面だけでも知りたいと思っただけ。

 これくらいならいいよね?と声に出さずに問えば、仕方ないなぁ、という笑みが返ってきた。それは、あまりやりすぎないでね?と伝える笑み。
 その表情を浮かべるルイスに、沙慈はしっかりと頷いた。
 

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