擬人化100題 08．春

拍手再録ですよ。

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「春は過ぎちゃいましたけど、桜あんパンpart2を作っちゃいました！」
「えっと……今度は、ちゃんと加工してる？」
「大丈夫です！食べれなくはないです！」
「いやその……加工は？」
「だから大丈夫ですって」
　ここまで不安な『大丈夫』は、果たしてあるのだろうかと、ガンダムは溜息を付きたくなった。いや……不安ではない。むしろ恐怖というか…やはり、一度『桜あんパン（仲にぎっしり桜の花びら）』を食べているから、なのかもしれない。
　事の始まりは、コロニー全体で起こっているらしいＭＳの人間化騒動。指が五本になって色々と器用に行うことが出来るようになったとかで、とりあえずパンを作ってみたから試食に来てくれないか、とターンＡに言われて来てみれば。待ちかまえていたのは普通のパンではなくて、どこかトラウマになっている気がしなくもない、桜あんパンpart2だった。一瞬……罰ゲームか？と疑いたくなったが違う…と思う。
　いっそ罰ゲームの方が良かったと思いながら、ガンダムは差し出されたパンを手に取った。見た目は……普通。中身は……どうだろう。
　おそるおそるパンを口に持って行って…そして。
「うっ！？」
　これまでにない衝撃が走った。
　手で口元を押さえ、視線で何が入っていたのかと問う。
　糸を汲み取ったらしいターンＡは、えっと、と前置きをして口を開いた。
「桜の花びらは入ってます」
　……やっぱり無加工ですか。
「それから、今回は梅の花びらも入れました！」
　絶対に……原因はそれだった。
　よくよく考えれば、どうしてパン屋にいるはずのビギナ・ギナだとか、Ｆ91とか、カプルとかに試食をしてもらわないのかという疑問が浮かぶが……簡単なこと。彼らはすでに『試食していた』のだ。
　警戒しながらも食べてしまった自らの浅はかさを呪いつつ、ガンダムは意識を手放した。

（2008/08/03）