忍者ブログ
式ワタリによる、好きな物を愛でるブログサイト。完全復活目指して頑張ります。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

112


112


 ずしり、と上から押しつぶされるような感覚に襲われる。
 何だ……?と思ったときには遅く、既に膝をつくしかない状況になっていた。どうしようもなく、体に力が入らない。
 出来ることと言えば、浮いていた刃物が落ちていくのを眺めることくらいだった。

「ヨハン兄!?どうしたの……って刹那もそんなにぐったり!?」
「ネーナは……平気、なのか…」
「平気って何?え……何かあるの?」

 ワタワタと慌てる末の妹。これ以上ないほどの困惑ぶりである。
 だが……彼女以上に混乱している人物がいた。先ほどネーナがぐったりしていると言った彼……刹那である。
 彼の顔は驚きに満ち、しかし直ぐに納得の色を浮かべた。

「なるほど……お守り、か」
「お守り?……あぁ、あの時のアレルヤに貰ったヤツ?それのお陰で私は動いてるって事?…で、刹那はどうして、そんなぐったり…」
「話すのは良いが……向こうを向け」
「向こう?て…わっ!?」

 素速く飛び退いたネーナの、元いた場所に鉄の刃が振り下ろされた。
 それをしたのは傭兵の方。異端の方はティエリアと対峙している。何やら話しているようだが、距離がある上に小声で聞き取ることは出来ない。

「避けんなよ」
「避けるに決まってるでしょ!死んじゃうじゃん!」
「ククク……まぁ、そりゃそうか」

 さも楽しそうに笑う男は、ちらりとこちらを見て、それから少し広い(といっても足下は赤。武器も幾つか落ちている)方を指した。

「ちょっとずれるか。ここじゃあ、動けないらしい親愛なるお兄様方を巻き込んじまうぜ?」
「……やな性格」
「同感です。けれど、貴方のその我が侭な性格もなかなかの物ですよ」

 そう言って、白髪の少女がネーナの隣に立つ。
 ソーマ・ピーリス。彼女もまた、ヨハンのような事態には陥っていないようだ。
 ソーマは刹那を一瞥し、口を開いた。

「貴方の持つ力に関しては、ある程度は把握してます。ですから言っておきましょう。世界にいる『ひと』は人間と異端に二分されると言いますが、違います。正確には四分されるのです。人間と、異端と、魔族と、月代に」
「……なるほど。俺の力は……異端にだけか」
「その通り。異端の力、行動、それらを阻害する力。代償は急激な体力の激減ですか?」

 彼女の問いかけに、刹那は答えなかった。だが、その手が服の上から何かを握った様子から、無言で肯定しているのだと分かる。

 生まれつき、不思議な力を持つ人間が居ることは知っていた。異端などというモノがいる世界だ、そういうことも有るだろうと思ってはいたが……なるほど、確かに異端がいる故の能力だった。もちろん別の種類もあろうが、彼のソレは、明らかに人間が異端に対抗するための力。

 既に指した場所にいる傭兵の元へと向かうソーマと、彼女を追うネーナを見ているしかないという事が少々悔しい。動きたくはあるが……タイミングからして、おそらく浮いていた刃物たちを地面に落としたのだろうその能力を、まさか刹那に解けとも言えない。解いた瞬間に、再び幾本もの切っ先に囲まれるのがオチである。

 そう思い、ヨハンは首をかしげた。
 彼の能力で抑えられたと言うことは、すなわちティエリアと対峙する彼の使用する力が異端のモノであるということ。しかし、彼は未だに行動を続けている。ソーマの言葉を借りるのなら、それは『月代』というものであるからなのだろうが…。
 では、その月代が異端の力を使うというのは。

 

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
02 2025/03 04
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
カウンター
プロフィール
HN:
式ワタリ
HP:
性別:
女性
自己紹介:
ガンダム大好き生物。キャラも好きですが、機体も大好きです。実は(?)、今は軽く三国伝にすっ転んでます。
最新CM
[09/28 ナワ]
[06/15 オシロマミ]
[11/02 banana]
[11/02 式ワタリ]
[11/01 犬っぽい]
最新TB
バーコード
ブログ内検索
フリーエリア
忍者ブログ [PR]