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一般人というのは、どうしてこんな愚かな間違いをするのか…。
…させたのはテメェだろうがッ!
チビスターズ第四話 ④
「ったく……どうして俺がテメェと組まないといけねぇんだよ……」
「それはこちらのセリフだ」
アレルヤと刹那の小さくなった二人組が消えていると気づいた後、ハレルヤたち四人は、二人ずつのペアを二組作った。手分けして探そうというわけである。
元々の歳を考えると、まさか、あの二人が迷子センターに行くわけはない。だからといって無闇に動き回るような愚かなマネはしないだろうとも容易に察せられ、そういうわけだったので、自分とティエリアは人がなかなか来そうにない場所……つまり、階段へと向かっていた。そこならば待っていたらすぐに分かるし、人が来てもわざわざ移動する必要はないだろう。通ろうという人間は階段の横幅が広いため、避けなくても横を通っていけるだろうから。
子供の広場、と呼ばれているような休憩場所にはロックオンとフェルトが行った。あちらにいないとも限らない。刹那あたりが酷く嫌がりそうだが。
ちなみに、組み合わせはいつの間にかこうなっていた。ロックオンたちが勝手に行ってしまい、残った自分たちが組まざるを得なくなった。
一人一人で行くのも一つの手ではあったかも知れないが、この人混みだ。一人では色々と見落としてしまいかねない。
そういうわけで、二人は共に歩いていたのだ。
まぁ、そういう理由でもなければ、彼と組むなんてことはしない。
「てーか、本当に何だよ、この人混み。鬱陶しいったらありゃしねぇ」
「珍しいな。それには俺も同感だ。全く、どうしてこんな人口密度の高い場所でも平気なのか……理解に苦しむな」
妙なところで意見が一致したが、別に嬉しくない。
はぁ、とため息を吐いて、再び人をかき分け始める。
「お前よか、まだ茶髪の方がマシだよな」
「フェルト・グレイスはどうなんだ?」
「いや、アイツといて、俺までロリコン扱いされたら困る」
「あぁ……なるほどな。それは確かに」
「だろ?変なレッテルなんざ、誰も貼って欲しくねぇし」
ロリコンなんて、一人でさえ多いというのに……まさか、二人目になろうなどと思えるはずもない。
今頃、もしかしたら彼はそういう目で、デパートに訪れた客達に見られているのかもしれない。だからといって同情はしないし、むしろおもしろいから見学に行きたいと、思わなくもないのだが。
まずは、アレルヤのこと……
「なぁ、嬢ちゃん、俺たちと遊ばないか?」
「ちょっとでいいからさ」
……なので、少し後ろで絡まれ始めたティエリアは放っておくことにしよう。厄介事に巻き込まれるのは構わないが、彼が絡まれているのを助けるのは嫌だ。そんなことをするほど、自分は彼を好いていない。というか、大嫌いだから。
気にせず足を進めながらチラリと絡まれ中の男を見ると、彼は恨めしげな目でこちらを見ていた。良い気味だと思う。
彼だって、たまにはこうやって世間の荒波に揉まれるべきだ。
だが、
「置いてっちゃうあんな薄情な彼氏より、俺らの方が良いだろ?」
絡んでいる三人組の一人がそう言ったのを耳にして。
ピタリ、とハレルヤは立ち止まった。
この状況でティエリアの『彼氏』と間違えられるのは、一名しかおらず……ということは、つまり。
思い考え、ハレルヤはくるりと方向を百八十度転換した。
問題発言をした男の所までツカツカと歩み寄って、がし、と肩を掴む。
そして、思い切りドスの効いた声で、ギッと睨みつけて。
「んな、おぞましい勘違いをするんじゃねぇ……ッ」
言うと、男は返事もせずに、震え上がり慌てて逃げ出した。
だから、果たして言葉をきちんと聞いていったかは分からない。が、とりあえず、その男の後を二人も追っていったから、鬱陶しい三人組は消えた。それだけで良しとしよう。
……にしても、何という間違いだろうか。
「やっと消えたか……」
「……てーか、テメェが一言でも喋れば良かったんじゃねぇのか…?」
「あぁ、そうしたら気づいただろうな。俺が男だと」
「もしかして、とは思うが……ああいう勘違いを予測して、わざと勘違いさせ……」
「少しは頭が回るようになったな」
「いつか覚えてろよ……マジで殺す」
出来るものならどうぞ?
ティエリアは、相手にダメージを与えるためなら、嫌なことも多少は我慢できると思う。多少というのがポイントで、そこを過ぎると血の雨が降ります。
危険ですので遠ざかりましょう。