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目が覚めたとき、突然にはソレが何なのかが分からなかった。
しばらくボウッと座り、意識がハッキリしてから数秒。
明確にソレの正体を察したハレルヤは、勢いよく立ち上がっていた。
「ハレルヤ・ハプティズム、朝くらい大人しく出来ないのか?」
「っせぇな眼鏡!アイツが来たんだよ!」
「アイツ……?」
「あの金髪変態大馬鹿野郎だ!」
ジト目だったティエリアも、その一言にハッとしたらしい。自分同様に立ち上がり、それから食堂より出て行った……大慌てで。当然だ。あんな身内を見せるわけにはいかない。
ハレルヤも急いで後を追う。彼と対峙するのなら一人より二人の方が良い。いや……二人でも不足気味だろうか。どうせ何人用意したところで彼のペースに巻き込まれることは、ほとんど確定済みの事実なのだが。
「ハレルヤ…金髪変態大馬鹿野郎というのは、あの狩人ですか?」
「そーいやテメェは会ってるんだったよな…」
「えぇ。一度会ったら忘れられません」
「……だろーな」
自主的に付いてきたソーマ、ロックオンを一瞥して、ハレルヤは前をむき直した。付いてくるなとは言っていないし、来たところで後悔するのはこの二人である。さして気に留める事もない。どうせ気になったとか、付いてきたのはそういう理由だろう。あのティエリアの慌てっぷりを見れば当たり前である。
トリニティたちが付いてこなかったのは、長男は気に留めておらず、次男と末っ子は食後のデザートに夢中だったから。フェルトに沙慈とルイスはワケが分からないようだった。刹那は来たくなかったのだろう。一度彼と出会っているあの子供は、少しばかりの苦手意識を持っているようだから。まぁ、来たくてもあの体調では無理だ。
そんなことをつらつらと思っている内に玄関口に着き、そこにはティエリアと例の金髪変態大馬鹿野郎、それから彼の保護者のポニテがいた。ポニテの方が手に持っているのは菓子系の土産だと推測される。
それはともかく。
彼はシュパッと手を挙げ、明るく笑って言った。
「やぁ!我が弟妹たち!」
「…そう言えば、私も『弟妹』に任命されたのでしたっけ…」
「あー……一応、ご愁傷様って言っといてやる」
こればかりはソーマが不憫だ。いけ好かない相手ではあるが、彼に『弟妹』とされるという事がどういうことか……わりと付き合いは長いからよく知っている。
「グラハム・エーカー……久しいな」
「ティエリア、普通にグラハムと呼べ。私と君の仲だろう?なぁ、ハレルヤ」
「テメェと俺らの仲なんて、んなこたぁどうでも良いんだよ!」
「円滑な人間関係を築く事は楽しい人生を送るための第一歩だぞ?」
やっぱりダメだった。このテンションに付いていくのはほとんど不可能に近い。
そういえば自分たちの時の施設の責任者も、グラハムには手を焼いていたな……と思いだし、ポニテ……カタギリの手にある袋を近付いて取った。
「またドーナッツかよ…テメェも好きだよな」
「良いじゃないか…ん?あそこにいるのは……」
ふいにカタギリがハレルヤの背後に視線をやり、目を細めた。
そこにいるのはソーマとロックオンである。だが、ソーマのことは知っているしこんな反応はしないだろうから…ロックオンと知り合いなのだろうか?
などと思っていると、グラハムが驚いたような顔をした。
「眠り姫!よもや、このような場所で出会おうとは…」
「…………眠り姫、だと?」
「そのあだ名は止めろッ!」
叫ぶロックオンを眺めながら、あぁ、そういえばこいつら同業者か…と思い出していた。両者とも狩人らしからぬ狩人なので(今現在)、すっかり忘れていた。
同業者なら知っていることもあるだろうが…そのあだ名は…。
とりあえず、からかうネタが増えたと喜ぶハレルヤであった。