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久しぶりに擬人化100題。
…終わるのかなぁ?
(これに出てくるそれ・びーのメンバーは、2009年の春号以前の設定です)
13:電気
「ハッキリ言うと、普通は逆だと思う」
「あ……僕も思い、ます……」
「キュリオス、そんな小さくならなくてもな?」
オドオドしっぱなしのキュリオスをなだめながら、確かにサンダーガンダムの言うとおりだと思った。言うとおり、これは『逆』だ。
何がかというと、それは彼の特殊能力について。
何でも、人間になった途端に雷が出せるようになったそうだ。
MSの時には出せなかったのに。
「これはこれでな……喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか…」
「あー、今できることに喜ぶか、いつもできないことに悲しむか?」
「微妙だね…」
普通なら人間のときできず、MSになったらできる、という方が自然に思える。人間はあくまで人間であり、そういう特殊能力は如何なる物かと考えるわけだ。まぁ、ナニカと色々、雷が出せないことについてからかわれた(特にガンタンクに、だそうだ)彼からすると、さらに複雑な事柄なのだろう。
そういうこともある、と言ってしまえば終わりなのだが。
「えと…便利になったこととかは?」
「電気代が浮く……が、ここら辺の料金システムは謎だしな…電気代は、あって無いような物だろう」
「そういえば請求は一度も無いな…」
コロニー内で台風が起こるような場所だそうだから、電気代や水道代という問題には、案外甘い場所なのかも知れない。そんなことを考えていたら話が進まない、というのもありそうだが、それはそれ。役立っているので問題はない。
とまぁ、単なる会話はこのくらいにして、そろそろ本題に入ろう。
デュナメスはそう決め、サンダーガンダムの方を改めて見た。
「ちょっと訊きたいことがあるんだけどな、エクシアとヴァーチェ、見なかったか?」
「エクシアと……?いや、見た覚えはないぜ」
「そうですか…どこ行ったのかなぁ……」
「ん?ってことはいないのか、アイツら」
「昨日からどこにも。夜になるまではどっか行ってんだろって感じで、それほど気はしてなかったんだけどな……寝る前になってまでってのは、ちょっとばかり問題だろ」
だから今日は朝からキュリオスと共に、あの二人を探して歩き回っているのだが……今のところ、収穫は何一つ無い。人間になっているのだから無茶な話、というかもしれないが、実際は雰囲気があまりに変わらな過ぎるために誰が誰、という困り事は起こっていないのだ。声が変わっていないというのもポイントだろう。
だがまぁ、後ろ姿をちらり、では到底分からないのだし。やはり聞き込みをしつつも地道に歩き回るしかないのだろう。
大変な話だと溜息を吐き、断りを入れてから携帯を取り出す。
電話をかけるのは一体、何度目になるだろうか……エクシアとヴァーチェも持っているはずだから、かければ繋がるハズなのだ。それが出来ないというのはつまり、電源を切っているか電波の届かない所にいるか。
恐らく前者だろうなと思いながらも携帯を開き……画面に明かりは灯らなかった。
「あ……電池切れ?」
「みたいだな…充電してなかったのが悪かったのか……」
「デュナメス、どうするの?一回帰る?」
「それが一番だよなぁ…」
携帯を使えない、というのはもしもの時困る。一旦帰って、充電してから再び出るのがベストだろう。時間は食うが、そこはやむなしである。
だが、そんな思考を中止させるかのようにサンダーガンダムが口を開いた。
「なんならオレが充電してやろうか?」
「え?出来んの?」
「多分な。かしてみろ」
出された手に素直に携帯を預る。
すると次の瞬間、パチッという音が鳴った。
「出来たぞ」
そう言う彼から携帯を受け取り、開くと画面に明かりが戻っていた。
「……便利だな、その能力」
「本当だね……一家に一人欲しいね…」
「オレは自家発電機か!?」
サンダーガンダムの条件反射に近い(のだろう)ツッコミに、キュリオスはびくりと震えた。こういう反応を想像していなかったのだろう。
「あうっ……ごっ…ごめんなさい……」
「キュリオス、ツッコミにまで怯えなくてもいいんだぞ?」
よしよしと頭を撫でてやると、次第に震えが収まっていく。
完全に収まった頃には、彼は恥ずかしかったのだろう、頬を染めて軽くうつむいた。
「…お前ら、結構いいコンビだな」
そんな様子を見て、サンダーガンダムがポツリと呟いたのを聞き、少し嬉しくなったのは秘密。
ていうか、本当にこうなったら、サンダーガンダムは軽く落ち込んでると思う。