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ふと気付いたんですが、普通の分でハレアレが分裂してる話って…このサイトにはあまりないような。
むしろ全然無い?
07.4対1
※ハレアレ分裂(今更)
「……お酒って、飲めるべきなんでしょうか」
「…はぁ?」
突然の訪問に、唐突な質問。
それらを受けて、ロックオンはこんな間の抜けた返事しかできなかった。……無理もないとは思うのだが。
ベッドに座っているアレルヤを見ながら、椅子の背もたれにもたれ掛かる。
「お前…いきなり何だって?この前『絶対にお酒は飲みません』とか言ってたのは、アレルヤじゃなかったか?それがどうしてそんな質問を?決意でも揺らいだのかよ」
「うっ……いやまぁそうですけど、確かに飲みたくないんですけど…スメラギさんが」
口ごもるアレルヤの言葉の中にトレミーの戦術予報士の名前を認めて、ロックオンは納得した。彼がとても懐いているらしい彼女に何か吹き込まれたのだろう。
そこまで推測して、では何を吹き込まれたのかと聞き返す。
「ミススメラギが何て?」
「その……ハレルヤはちゃんと飲めるでしょう?なのに僕は飲めないで相手出来ないから、出来るようになるべく日々精進なさい、と…」
「へぇ…」
「それから、刹那が二十歳になってお酒が飲めるようになって、僕がまだ飲めなかったら悲しいことになるだとか……ティエリアとも同じだとか……ロックオンともずっと飲めないよ、だとか色々と言われました」
「オイオイ……そりゃ一種の脅しじゃないか?」
そこまで言われて、アレルヤが何もしないわけがない。特にハレルヤと自分に対しては相手を出来ないことを気にしていた節もあるのだから、言われたら絶対に『それは嫌だな』とでも思って行動を開始するに違いなかった……スメラギの作戦通り。
アレルヤに酒を飲ましたがってたしな…と思い返す。その目的のためならきっと、彼女は出来うる限りの手を尽くすのだろう。
さすがは戦術予報士である。
……能力の使い道を間違っている気もするが。
苦笑しながらポンポンと彼の頭を軽く叩く。
「ま、無理にすることでもないからな。そんなに気にしなさんなって」
「でも……」
「今回はそのロリコンの言う通りだ、アレルヤ・ハプティズム」
まだ躊躇っていた様子のアレルヤだったが、決して存在するはずのない第三の声にびくりと身を震わせた。
ロックオンは驚きながらも声の出所を見つけ……溜息しか出なかった。
「ティエリア……お前、どうしてそんな所に」
「決まっているでしょう?貴方とアレルヤを二人きりにするわけにはいきません」
「あー、そうですか…」
「え?え?え?」
ベッドの下からはい出てきたティエリアには最早呆れではなく賞賛しか感じられず、状況を呑み込めないらしいアレルヤは顔に疑問符を浮かべてオドオドとしていた。
とりあえずアレルヤの隣に座るように勧め、体重をさらに椅子の背もたれに掛ける。
「で……お前が言いたいことは?」
「アレルヤ、以前、君が酒類に挑戦した際の事柄を忘れたのか?」
「えーと……」
「忘れたというのなら教えてやろう。君は度数がそこそこでしかない酒を飲んで、一杯、ただそれだけでダウンしたんだぞ!?後日、度数の高い物を試してみれば二口美口で終了!無防備この上ない姿をさらしていたんだ!……そんな君が酒を飲む練習をしてみろ、必ず誰かに襲われるぞ!?」
「ティエリアお前何言ってんだよ!てーか一番やりかねないのはお前だろ!?」
「え……襲う…って」
「アレルヤ、お前は知らなくて良い」
その言葉と共に。
新たにニョキリとベッドの下から頭が生えてきた。
「せせせせせせせせせせせせせせせせせせ刹那!?」
「驚きすぎだ、アレルヤ。ティエリア・アーデがいた時点で予測するべきだろう」
「いや、ティエリアがいたから逆に気づけなかったんだと思うが…」
だってベッドの下だし。
面積狭いし。
「そうとも言うか……」
「そうとしか言わないっての!」
思わず叫ぶ。絶対に自分の方が正しい。
あぁ、どうしてコイツらは……と天を仰ぎ見ていると、ティエリアが軽く鼻を鳴らしたのが聞こえた。
「フン…下はかなり居心地が悪かった。直ぐ目の前に刹那・F・セイエイの顔があるのだからな。目的のためにと耐えたが」
「ソレはこちらのセリフだ、ティエリア・アーデ」
幻覚だろうが、両者の間に火花が散っているように見える。
…一触即発である。
どうしようと頭を悩ませていると、二人の争いを止める救世主は思わぬ所から来た。
「アレルヤァァァァッ!」
ドアを蹴り壊そうという勢い……否、本当に蹴り壊して、部屋の中へと入ってきたのはハレルヤだった。
「ハ、ハレルヤ!?」
「お前、酒飲もうとか思ってるんじゃねぇよ!いいか!?あのアル中と酒飲んで、一杯だけでぶっ倒れたお前を、一体誰が部屋まで運んだと思ってんだ!」
「そっ…それはその……」
「俺だろ?その俺が言ってるんだ、聞くよな…アレルヤ?」
「……うん」
先ほどまでの躊躇が嘘のように素直に頷くアレルヤ。
それを少し複雑に思いながら見るが、まぁ、これは単に『ハレルヤは基本的にいつも正しい事を言ってるから』というアレルヤの考えから来る物なのだし、それほど深刻に捕らえる必要は……あるのか。何せ、対象はハレルヤである。
それはともかくとして、アレルヤが頷いた時点で一応騒動は集結した。
……かのように見えるが。
「なぁ、ハレルヤ…ドアの修理は誰がすんだ?」
「ん?テメェでどうにかしろよ」
「愚かだな、ハレルヤ・ハプティズム。君がやったのだから君がやるのが道理だろう」
「っせぇな眼鏡。どうしようと俺の勝手だろ?」
「煩いのは貴様だ。大人しく『修理させてくださいティエリア様』とでも言えないのか?」
「ンだと……?」
…新しい衝突が開始されそうである。
さぁ、どうやって止めるべきかと頭を抱えながらもアレルヤをどこに避難させよう、とチラリと視線をやってみると……既に、刹那が外れたドアを踏みながらも、彼を部屋の外へと押し出そうとしていた。
ホッとしたのも束の間、言い合いが耳に届いてきた。
……止まりそうにない勢いだった。
書いてて楽しかった。
特に「アレルヤァァァァッ!」が。