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ソレスタル・ビーイングの皆で。
地上に降りるマイスターに、欲しい物のおねだりです。
…あぁ、本当にもう少しなんだなぁ…
18.夏が来る前に
地上での任務にあたり、下での買い物を頼まれるのはいつものこと。
……なのだがしかし、今回の買い物リストには何点か、言っておかねばならないだろうことがあった。
船に乗るクルーそれぞれから受け取ったそれの内一つを眺め、呟く。
「……ロウソク百本とは何だ」
「百物語よ、百物語。百本全部に火を付けてから怖い話をして、一つ終わる度に一つ消していくのよ。そして百本目が消えたとき……!という話ね」
「知っています」
そのくらいの知識、ヴェーダで検索を掛ければあっと言う間である。
問題はそこではない。
どうしてソレを、そんな下らないことのために使うソレを、この自分がミッションがてらに買ってこなければならいのかという事だ。
しかもロウソク百本だけではなく、短冊に笹(七夕だろう)、水着(海水浴。トレミーに持って上がるようだが…宇宙のどこで泳ぐ気だろうか…)、スイカ(確実にスイカ割りだ)、かき氷機に箱詰めアイス(ここでは空調が完備しており、暑くはないはずなのだが)、花火セット(もしもトレミーでやるようなら止める。危険すぎだ)、団子を作るための材料(月見だろう……が、秋はまだまだ先である。何せ夏にもなってないのだから)、果てには仏壇まであるという……仏壇?
「……スメラギ・李・ノリエガ、これは…」
「あぁ、それ?日本の『オボン』っていうのをね」
そう言うスメラギ曰く。
始まりは刹那が隣人の少年からそれについて聞いた事で、それを聞いた自分が面白そうだと思ったので再現してみようと考えた。
……迷惑極まりない。
溜息を吐いて、直ぐ傍のミッションを共にするマイスターに紙切れを渡す。
受け取った本人は、それを一瞥しただけで苦笑いを浮かべた。
「オイオイ……ミススメラギ、こりゃ無いとおもうぜ」
「そうかしら?けど、ヴェーダだって推奨してるのよ」
「何!?」
「ティエリア……これ絶対に嘘だから騙されるなよ」
ヴェーダという言葉によって麻痺していた思考がロックオンの一言によって再開、数秒の思考の後にスメラギが言ってるのがで嘘だという結果が出た。
しまった……と心中で早急な降伏を悔やんでいると、ロックオンの隣からポツリと呟かれた低い声が耳へと滑り込む。
「単純だな、ティエリア・アーデ」
「黙れ。仏壇などと言うワケの分からない物まで買う理由を作り出した君に言われたくはないが…刹那・F・セイエイ」
「二人とも…落ち着こうよ、ね?」
そこにいたのは刹那とアレルヤ。さらに言うと、なぜだかフェルトとクリスティナまでいるという始末。他のは仕事があったらしく、ここにはいない。
というか、どうして集まっているのだろう。
首をかしげていると、スメラギを含め、それぞれが口を開いた。
「仏壇を頼む。オボンというのが気になるからな」
…成る程、言い出したのは計画の内か、刹那・F・セイエイ。
「スイカよろしくね」
スメラギ・李・ノリエガ、トレミーでやるのは危ないと思いますが。
「ロウソク百本、頑張って探してきてね!」
何となく納得だが敢えて言う…立案者は君か、クリスティナ・シエラ。
「お団子……」
……分かった。フェルト・グレイス、確かに君はそういうキャラっぽい。
「あ、水着は冗談だから買わなくて良いからな」
ロックオン・ストラトス、貴方まで混じって何をしているのですか。
「えっと…短冊に笹、頼めるかい?」
…あぁ、やっぱり君か。分かった、ならば確実に取ってこよう。
「アイスとかき氷機はリヒテンダール・ツエーリからの依頼だ、ティエリア・アーデ」
……そうか。では、そこはどうでも良いな。
各々の言葉を聞いてそれぞれ思い、ふと首をかしげる。
花火は一体誰が……?
しかし、その問いはあっと言う間に氷解した。
目の前に、金の瞳が現れたからだ。
そいつはニッと笑い、言った。
「花火、出来るだけたくさん頼むぜ?眼鏡さんよぉ」
「断るッ!」
ティエリアのその怒声と共に、右ストレートがハレルヤの鳩尾にヒットした。
別題:ティエリアの苦労話
リヒティは名前だけ出せたけど、ラッセさんとかおやっさんとかドクターとか、出せなかったのが残念。
出したかったなぁ…。