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赤のお題も凄く久々。
久々週間でしょうか。
ミハエルとネーナとアレルヤと、ゲスト出演というかでニールさん。
08.オープンカー
「……一つ訊く」
「どうかしましたか?」
助手席に座っていたアレルヤが、ハンドルを握っているロックオンの言葉に、実に不思議そうに首をかしげた。
助手席にハンドル……そう、今、二人は車に乗っていた。ただ今休暇真っ最中ということもあって、少し割り当てられた住居から遠出してみようということになったのだ。
と…そういう経緯はいい。
問題は現状だった。
「んー!風が気持ち良いー!」
「オープンカーだからな。ってーかさ、コイツにオープンカーって似合わねぇと思わね?」
「思う思う!何でこんなのに乗ってるんだろ?」
「レンタカーで、これしか良いのが残って無かったんだよっ」
後部座席に何でかは知らないが、二人の部外者(とも言えないのだろうか?)がちゃっかりと収まっていた。本当にいつの間に。さぁ出発、という時には既に乗り込んでいたというミラクルである。
まぁ、そこは訊いたところで無意味なのだろうが……それでも敢えて訊く。
「お前ら…どうして乗ってんだ」
「え?だってヨハン兄が自由時間くれたから」
「んじゃアレルヤに会いに来ようって、そーいう話になったんだよ」
ちなみにヨハンの方は色々と事務処理があるそうで、一人で本拠地に残っているらしい。そんな兄を置いて出て行くところ、この二人もかなり酷いというか……いや、これは我が侭だからこそか。世話が大変そうだ…つくづくトリニティの長男とは気が合いそうな気が。
しかし、ロックオンは首を振った。
「いや、そこら辺の理由は何となく分かる。俺が訊いているのは手段の方だ」
「あ、それは僕も気になるかな」
本当に忽然と現れたのだ。どこからとか、いつの間に、とか、そういうのが酷く気になってもおかしくはないだろう。
「教えてあげる理由なんて無いけど」
「ニヒル野郎だけじゃなくてアレルヤもってんなら…しゃーねぇな」
ねー、と声を合わせ、憎たらしげに笑い合っている次男と末っ子を鏡で見、若干の殺意を覚える。こいつらの態度は何だろう……いっそのこと、車から落としてやろうか。
ちらりとアレルヤ側にあるサイドミラーを見れば、左右対称になっている彼の顔が、僅かに楽しそうに見えた。彼は苦笑しているし、見間違えと言うのも有り得ないことでは無かろうが……鏡に映ったその笑みに少量の悪意を感じ取ったのは、ロックオンの気のせいではないだろう。
お前ら三人とも、そんなに俺のことが嫌いなのか……。
そういう風に思いながら、ただ一人、自分の味方になってくれるだろう彼が隣にいてくれて良かったと思う。そうでもなければ心が折れていそうな気がする。冗談抜きで。
「……で?どうやったんだ?」
「簡単よ?アンタ達が別の方に意識を向けた一瞬にね」
「そん時に会社のヤツとか殴って倒してちゃっかりとな」
「殴っ……」
「ちなみに殴るのは問題かもって思ったから、HAROに頼んで監視カメラの情報も書き換えといたし」
「そんなことに優秀なAIの能力を使うな!」
CBの技術をいったい何だと。
この分だと、自分たちが音がしたからと振り返ってみた茂み…あれに細工をしました、とか言い出しそうで怖い。実際にやってる気もする。
恐るべし、トリニティ…である。
これにヨハンが加わったらと思うと、想像するだけで恐ろしい。まさか常識人に近い彼が仲間入りはしないだろうが、場合によっては躊躇いもなく参加するのだろう。そうなると……本当に敵無しのような気がするのは、決して誤りではない。
「ねーねー、アレルヤ、今度私たちとどこか行こー?運転はヨハン兄に任せてさー」
「お!それ良いな!場所はどーする?」
「えっとね、美味しい物がたくさんある場所!いっぱい調べて、いっぱい巡るの!」
「ネーナ……それ、単なる食い倒れの旅だよ?」
「いいんだってば!ね、ミハ兄!」
「だよなっ」
……楽しそうなネーナとミハエルには悪いが、それは叶えられ難い願いだ。
それを刹那が、ティエリアが、ハレルヤが……そして自分が、見逃すとでも思っているのだろうか?
絶対に邪魔してやると決めて、ちゃくちゃくと練られていく計画に、ロックオンは耳を傾けた。
……何かロックオンが凄く執念持ってるよ…。
頑張れロックオン。ハレルヤまで敵に回ってるけど、頑張れ。