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機体視点の話、スタートです。
本編沿いに、ギャグだったりシリアスだったりする予定です。
これが四年の差……か。
始めこそ互角に渡り合っていたが、次第に押され、終いには両肩まで切られて思った事は、ただそれだけだった。
悔しさはない。刹那と共にここまでこれた、その事実だけで十分だ。元々、この身など、四年前のCB壊滅の際に潰えていても可笑しくはないのだから。
それが、ここまで来れた。
それだけで……嬉しい。
エクシアはゆっくりと瞳を閉じ、あぁ、刹那をどうやって救ったら良いのだろう彼だけは助けたい、と考え、そして……。
衝撃は、こなかった。
訝しく思いながらも瞼を開ければ、目の前にいたジンクスⅢの一機の、その槍が完膚無きまでに破壊されており。
ふと別方向へと視線をやると、やってくる白い機体が瞳に映った。
『危なかったな』
「……ヴァーチェ!?」
唐突に入った通信、その画面の向こう側にある顔に驚いていると、その相手は苦笑を浮かべて首を振った。
『違う。今の俺はセラヴィーだ』
「セラヴィー……セラヴィーか…」
口の中で反復して、呟く。
「……言いにくい」
『セラヴィー、目標を破砕するっ!』
ヴァーチェ…いや、セラヴィーの持つ四つの砲門が自分に向いたのを感じ、思わず呆れる。来たと言うことは自分と刹那を回収しに来たと言うこと。それを破壊して一体どうするつもりだというのか。
「ティエリア・アーデ!?」
『違う!これはセラヴィーが勝手にっ!?』
マイスター達の会話を聞きながら、エクシアはまだ不機嫌そうなセラヴィーを見る。
そして、これでは本当に助かった瞬間に殺されかねないと、自分ではなく(自分たちに死という概念はない)刹那の命の危険を感じたので素直に謝ることにする。
軽く頭を下げて謝罪の言葉を言う。
「悪い。本心からの言葉だったんだが…」
『エクシア……本当に壊してやろうか?』
「断る」
一言で言って捨てて、エクシアはそれより、と話題を転換した。
「デュナメスとキュリオスは」
『あぁ、あの二人ならそれぞれケルディム、アリオスという名になって違う場所にいる。ケルディムはプトレマイオスⅡに、アリオスはどこかにいる彼のマイスターの下に。一人にするのは不安なのだそうだ』
「…こういうとき、精神体というのは便利だな」
精神体のままらならばどこへでも行けるし、誰にも姿を見とがめられることはない。同じMS以外なら、の話なのだが。
実体化も自由自在だし、割と自分たちはスパイか何かに適していそうだ。
…話を戻して。
「それより、俺の名も変わるのか?」
『あぁ。新機体になるからな、当然だ』
「名は?」
『ダブルオー』
「…」
それを聞いたエクシアは何も言わず、くるりと体を反転してセラヴィーから離れようとした……が、既にそうは出来ない状況へと陥っていた。しっかりと、彼の手によって本体が拘束されていたのだ。端から見れば単にはぐれないように運んでいるように見えるが……エクシアから見ると、逃亡防止のための処置にしか思えなかった。
恨みの籠もった視線をセラヴィーに向けるが、相手は至って飄々とした様子で堪えてさえいない。……その内、必ず仕返しをしてやることにしよう。同じ組織で同じ場所で戦うのだから、その機会はいくらでもある。割と本気でそう思う。実行はしないだろうが。
そういうわけなので。
「一体誰だ」
『名付け親か?……誰でも構わんだろう。決定事項だ』
「嫌だ」
『だから決定事項と…』
「嫌だ」
『よし、母艦に返ったらケルディムに言え。俺にはもう言うな』
「嫌だ」
『…………イヤガラセか?』
「さぁ」
まだまだ可愛らしい方の、こんな少しばかりの復讐をしてやろう。
このくらいは許されるはずだ。何せ、勝手に名前を変えられるのだから。
出来うる限り、こんなノリになるかと。