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「私はチョコケーキをお願いします。刹那、貴方はチーズケーキで良いわね?」
「……あぁ」
「あ、僕はモンブランで」
「私はイチゴパフェを」
「私はコーヒーだけで良いわ」

 四人で座る席に椅子を一つ持ってきてもらって五人で座る中、シーリンは一番最初に持ってこられた水を一口飲みながら、この状況にどう対応するべきだろうと考えていた。

 皇女はおそらく誰かに狙われている。高確率で、ではない。確実に、だ。
 だというのに都に来て刹那に再開してしまったあげく、新しい知人まで作って通りで立ち話までしてしまった。これでは彼らが目標とされて襲われる可能性が高くなってしまう。

 それは本意ではない。マリナがどう思ってこの行動を行っていようと、シーリンは出来る限りは被害者と成り得る人物を減らしたいと考えていた。たとえ何かの策があろうと、何も策が無かろうと。

 理由は決して『巻き込まれる人が可哀想』という事ではない。
 これ以上マリナの無茶に巻き込まれる誰かを減らしたい、というただそれだけだ。

 幼い頃から彼女の侍女をしてきたシーリン自身や、これまた幼い頃からの交流がある刹那。ここまではまだ、巻き込まれても仕方がないといえなくもない。
 しかし、先ほど会ったばかりのアレルヤとソーマは違う。

「…シーリンさん、どうかしましたか?」
「え?」
「さっきからずっと黙ってますけど…」

 心配そうな表情のアレルヤを見て、思わず苦笑を浮かべる。
 考え事に集中しきっていて、こちらに意識が向いていなかったのは……失態だ。
 これからは気をつけようと思いつつ、問題はないと答える。
 実際、問題は無い。

「色々と考え事をしていただけですから」
「なら良いんですけど……」
「アレルヤ、シーリン・バフティヤールの心配性は今に始まったことではない」
「え、そうなの?」
「そいつは生まれたときからの苦労性だ」

 頬杖をつきながら言う刹那を見てついつい微笑んで、それから多大な違和感を覚える。
 彼がいなくなって、かなりの時が経った。
 だが、だとしても、今の彼はせいぜいが十六歳くらいのはず。
 なのに刹那は、どこからどう見てもそれ以上にしか思えない。

 これは一体……?と、新しい疑問の登場を噛み締める。全く……気になることだらけで、本当に困った物だ。もう少しくらい考えるべき事柄を減らしてくれてもいいと思うのは、決して自分だけではないだろう。

 溜息を吐いている内に店員の一人がトレーを持って近付いてきた。乗っているメニューからして、おそらく自分たちが注文した物だろう。イチゴのパフェなんて目立つ物が載っているのだから、多分、間違いはない。

 速かったな……と思いながら眺めていると、その中に遺物があるのに気付いた。
 チーズケーキ、チョコケーキ、モンブラン、イチゴパフェ、コーヒー、そして……誰も頼んでいないイチゴのショートケーキ。

 全て同じトレーに入っていて、しかもそれが中央に位置していることから、あれだけ違う席に……というのは些か考えにくい。それなら別のトレーに入れてくればいいのだし、中央なんて色々と取りにくそうな所に置く必要はないのだ。

 なら……?
 不信に思うと同時に、ショートケーキから閃光が漏れ出た。
 

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