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下にもありますが、菫のお題 03,キラキラ の続編です。まずはあちらを読まないと分かりません。

自分の中に第三話フィーバーが来ています。だって奪還だし。
しばらく(長くて四話が始まる前まで)三話ネタで走り抜けるかも。
ちなみに『第三話』て打つと、『第三話:アレルヤ奪還作戦』って下に出てきます。パソコンが覚えちゃった。



01.背中越し   (第三話:アレルヤ奪還作戦 より)


※菫のお題 03,キラキラ の少し続編。

 ティエリアと刹那が部屋から行って、その二人に連れられてロックオンのそっくりさんまでもがいなくなって、部屋に入ったアレルヤは一人になった。
 残念ではあったのだけど、ティエリアの、そっくりさんを見る目つきのせいで、引き留めることも出来なかった。鬼気迫るというか、あれは完全に鬼の目だった。仲が悪いとして…何かあったのだろうか…その内分かるかも知れない。分かるのも何か怖い気もするが。
 柔らかくなったと思うけれど、どこか変わっていないようにも思える仲間の事を思ってクスリと笑い、視線を辺りに巡らせる。
 受け取ったコーヒーのマグ、それを持っている自分の手、拘束されていない足、新しい輸送艦の部屋、自由な場所……それらを見て、ようやく実感した。自分は、あの場所から出てきたのだと。
 助け出されて直ぐには、実感は湧かなかった。突然すぎるほど唐突だったし、何より、アリオスに乗っての戦闘まで行ったから。そんな状況で実感を持て、現実を噛み締めろ……と言われても、まず無理だ。
 だからこそ、今、ようやく安堵を覚えることが出来るのだろう。
 だから……涙が出てくるのだろうか。
「あぁ…」
 目元から拭った液体を見て、呟く。
「とても安心したら泣いてしまうって言うけど……本当だったんだね…」
 今まで流したのは、悲しいから、辛いから、そんな涙しかなかったから、今回のこれ……安堵のための涙は、とても新鮮に思えた。
 これほどまでに、本当は四年間が辛かったのだろうか。
 それとも、帰ってきたという安堵がとても、とても強かったのだろうか。
 どちらでも構わないと思う。とにかくここに帰る事が出来て、そして『帰る場所』があるという事実があれば、それで。
 しかし、未だに止めどなく溢れる涙には……少し困る。
 こんな状況を他の誰かに見られたら大事になりそうだし、見られることは気恥ずかしく思えるし。どうにかして、再び誰かが訪れる前に止めてしまわないと。
 だが、こういう時ほど人というのは来てしまうもので。
「アレルヤ」
「せっ…刹那っ!?」
 音を立てて開いたドアに慌てて背を向けて、アレルヤは叫ぶように(というか実際に叫んで)言った。
「あっ、あのねっ…ちょっとそのっ…顔が見せられない状況って言うか何て言うかっ…えっと…えと……その…」
「……分かった。悪いな、突然入ってきて」
 苦笑混じりの言葉に少し顔を赤くしていると、ふいに、とんと背中に衝撃が伝わった。
 何?と思って振り返ろうとして、ギリギリで堪える。これで顔を見られてしまったらいけない。本当に、自分では見えないけれど、見せれるような顔ではない。
 その後に、背中に暖かな温もりを感じて気付く。背中合わせの状態だ。
「ねぇ、刹那……どうかしたの?ここに来るのは二回目じゃないか」
 温もりを心地よく思いながらも問えば、彼は何てことはないと前置いて、答えた。
「二つほど目的はあるが……一つめは、今、プトレマイオスⅡの中は危険だから、絶対安全領域に来た。それだけのことだ」
「危険……?」
 それはどういう意味だろうか。
 首を傾げていると、未だに閉じていなかったドアの向こうからドドドドドという、足音と呼ぶのが荒々しくて憚られる、そんな足音が聞こえてきた。
 え、と視線を思わずそちらに向けると、丁度、通路で走っているロックオンのそっくりさんと、ティエリアの姿。
「待て貴様!誰の事が遊びがいがありそうだと!?もう一度言ってみろッ!」
「同じ事を二度も言う気はねーよっていうか、お前、何でそんなに怒ってんだ!?」
「黙れ!貴様の声など二度と聞きたくないッ!」
「いやいやいや、もう一度言えとか言ったヤツが言える台詞か!?」
「口答えをするな!塵芥も残さずに消えたいのかッ!?」
「塵芥て、ガンダム出してくる気かよ!?」
 ギャーギャーという大音量が遠のいていくのを呆然と聞きながら、目の前に刹那の驚いた表情があることに違和感を覚え……今の自分の状況を思い出した。
 まだ、目から液体は零れ続けているのだ。
「刹那、その…これはね…」
「…アレルヤ、俺がここにきた二つめの理由を言う」
 悪いことをしたワケでもないのに申し開きをしようとしていたアレルヤの声に、刹那が唐突に言葉を被せた。
「言い忘れていた。……おかえり、アレルヤ」
「…それ、ちょっと遅いよ…」
 言いながらも微笑み、額をとん、と刹那の肩に当てる。
「ただいま、刹那」
 涙で彼の服が濡れたけれど、刹那は何も言わずに、本日二度目の抱擁を贈ってくれた。




シリアスの中にギャグ、ギャグの中にシリアスな作品に…。
書いてて楽しかった部分は、ライルとティエリアの追いかけっこの時のセリフの応酬。この二人はこういう関係で良いと思う。つまり、ティエリアがとことんライルを邪険に扱って、ライルがそれから逃げるって言う、ね。少なくとも今はだけれど。
ていうか、刹那とアレルヤの場面は、本当に本編にあったらいいのになぁ…それだけで天国行けそう。
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