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色々と厄介事に巻き込まれる体質を持っているとは思っていた。特別な力が何とかとか言う問題ではなくて、そういう体質が少なからずあると。……しかも、それが一人だけではなくて何人も何人もという話だから手に負えない。
だが……だからといって…
だからといって、都に来て二日目にいきなりトラブルに巻き込まれなくても良いんじゃないだろうかと、ハレルヤは思った。
平和な時間がどうとか言うつもりはない。そんなのは言ってしまえば退屈なだけで、どちらかといえば危険の中で体を動かしている方が向いているし。まぁ、基本的には平和主義者である片割れが居る手前、そんなことはあまり口にはしないが。
ただ……休む時間は欲しいとは、思うわけで。
厄介事を解決したと思ったら身内が帰ってきて、その次の日には他の身内の招待によって都に来ることになり、さらに次の日には連れのうち三人ほどが爆発騒ぎに巻き込まれているのが確定しかけ……と言う状況はあまりにも酷い。
「あ、あと爆発騒ぎとは関係ねぇと思うけど、青い髪の男と赤い髪の女が、どっかのバカをボコッてるってよ」
「爆発と関係は無さそうだが……俺たちに関係がありそうな気はするな」
「あとで長男にでも伝えとくか?」
教えたら疲れている彼にトドメを刺すことになるだろうが。
しかし、そこは自分の知り及ぶところではない。長男なら次男と末っ子の世話を見るのが仕事というものだろう、多分。
「五人の情報は依然としてナシ。ったく……探しに行くにしても、こりゃ手の打ちようがねぇな。手当たり次第は効率悪すぎるっての」
「いつものようにテレパシーもどきのあれを使えば良いだろう?」
「伝わらねぇからここにいんだろ」
「……伝わらない?」
「変なところにでも迷い込んだんじゃね……?」
この状況であえて意思の遮断を行う理由がないのだから、必然的に出来ない状況にあるのだと考えることになる。これは異端に関する物でもなく、同時に魔の力にも関係する物ではなく、さらに言えば月代にも接点はなく、言うことはないが人間にも起因はないのだから、防ぎようが無いのだ。
ならば何かと言われると、『何か』と答えるしかない。
良く、分からないから。
どうして自分たち双子だけが言葉を交わせるのか。どうして他の誰かには言葉しか伝えることが出来ないのか。原理は何なのか。そもそも原理があるのか。
何も、分からないから。
だから何だと、それがハレルヤの今のところの見解である。使えるのならば使えばいいし、使えないのならば使わなければいい。使ってはいけないのなら……程よく使ってやるのをオススメしよう。
それにまぁ、アレルヤ以外と心で会話、なんて怖気が立つ。
「……ハレルヤ・ハプティズム、何か今、かなり失礼なことを考えていないか?」
「いんや別に?当たり前のことを考えてただけだぜ?」
「ならば良い。あと、何となくだが…今の君の意見に賛成したい気分だ」
「そりゃどうも」
こういうところは何故だが意見の合うティエリアに礼をして見せて、ハレルヤはひょいっとベッドから降りた。
部屋から出ようとすると、後ろから制止の声。
「どこへ行く?」
「探しに行くんだよ。迷子とかセールスとか、アイツなら有り得るしな」
「刹那・F・セイエイとソーマ・ピーリスがいれば問題は無いと思うが……というか、効率が悪いのではなったか?」
「そーは言ったが、探しにいかねぇとは言ってねぇし」
そう言って、ハレルヤはドアを閉めた。