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00、第三話フィーバーが続いております。
今回もそれに類しています。
Cパートのコーヒー(勝手に確定)があったので、それを元に。
菫のお題 03:キラキラ の少し前かもしれません。
01.完全無欠
※ 第三話ネタです。菫のお題 03:キラキラ のもしかしたら少し前。
「美味しいね、このコーヒー」
色々なサプライズ(主にロックオンのそっくりさん登場とか)があった後、落ち着いてから一番最初に口にしたのはこんな一言だった。
本当に美味しい。風味的にインスタントではないようだから、自力で始めから淹れたりしたのかもしれない。となると器具も用意する必要があるし……準備が大変そうだ。あとそれから、練習だってしなければならないだろう。
凄いなぁと思いながら再びコーヒーを飲む。
「淹れたのって誰?ティエリア?」
「あぁ。君が気に入るように作ったつもりだが…どうやら成功したらしいな」
「うん、大成功だと思うよ」
温さも丁度良いし、味は気にいったし。
思わず頬を綻ばせていると、ロックオンのそっくりさんが、ヒョイとアレルヤのマグの中を覗き込んだ。
「そんなに美味しいのか?なら、俺にも分けてくれよ」
「あ、構いませ…」
「アレルヤ、渡すな」
一口二口なら問題はないだろう、と、マグを手渡そうとしたところで、しかし、ティエリアから制止の声が上がった。
首を傾げながらセラヴィーのマイスターを見て、マグを見て、再び彼を見る。
「けど、僕は別に構わないんだけど…」
「それでもダメだ」
「いいじゃねぇか、本人は良いって言ってるんだし」
「貴様に飲ませるコーヒーはどこにも無い、と言っているんだが」
「言ってくれるねぇ…そんなに俺が気に入らないか?」
「自分の胸に手を当てて考えてみれば良いだろう?」
凍えそうなほど冷たいティエリアの視線に戦慄を覚えながら、ゆっくりと、アレルヤはマグを差し出していた手を引き戻した。……いけない。この状況で彼にマグを渡してしまうと、絶対に取り返しのつかないことになる。死傷者は出ないだろうけれど……それに近いのは……有り得そうだ。それほどまでに、ティエリアが本気に見える。
代わりに、話をここから逸らそうと別の話題を必至で探す。
「そっ…そういえば、器具って誰かが持ってたのっ!?」
そうして見つけた話題は先ほどとさして変わらず、しかも言葉の端々から焦って話のネタを探しました、というのが自分でもヒシヒシと感じられる。何と言うか……そう、これは確実に失敗した。
だが、意図に気付いてくれたのか、フッと笑ったティエリアは意識をこちら側に向け直してくれ、彼が手に持っていたマグを持ち上げた。
「全て買ってきた」
「……凄い」
「幾つもある器具の中から、一番しっくりくる物を選んだ。当然ながら豆も一通りは確認して、気に入った物を数点ほど置いている。よかったら別のも淹れて来るが」
「いや、今日はこれで良いよ。…その内お願いするかも、だけど」
答えながら、クスリと笑う。
随分と柔らかくなったけれど、どうやらこういう完璧主義な所は変わっていないらしい。様子からして……大分、採点は甘くなっているとは思うけれども。
やはり四年間……いや、皆が離ればなれになる少し前の経験が、彼を変えたのだろう。
全ては『彼』のお陰か…としみじみと思っていると、呆れた様な声が耳に届いた。
「器具に豆に…ソレスタル・ビーイングってのは、随分と暇な組織なのか?……ていうか、よくそこまでやるねぇ…呆れ通り越して…いっそ感服するぜ」
心の底からそう思っているらしいケルディムのマイスターは、そう呟きながら肩を竦めていた……が、そこまで言われて黙っているティエリアではないのに、そこはまだまだ……知らないのだろうか。
とにかく。
ティエリアは報復とばかりに軽く足を持ち上げて、思いっきり彼の左足……の、おそらく小指部分を踏みつけた。
「痛っ!?」
「貴様は先輩に対する態度という物がなっていないな。調教し直してやる」
「そんなの当然に遠慮するっていうか調教って何だ…いだだだ!?」
「ティエリア、やりすぎだって!」
そして、そのままグリグリと踵でグリグリと彼の足を攻撃しだしたのを見て、アレルヤも慌てて止めに入った。
何か…ライルさんが出張ってるような……けど、こんな感じだと良いなぁとか。まだ笑ってすませれる。