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「さすがに二日連続で一徹はキツイぜ……」
「…馬車で揺られていた間の疲れもあるからな」
「というか何より……一晩語り合ってもまだ語り足りないっていう、そこが一番の問題なんじゃないのかなぁ…」

 それぞれのベッドの上でグタリとしている保護者三名を見ながら、沙慈とルイスは顔を見合わせて苦笑を浮かべた。結構……苦労しているようだ。

 どうして彼らの部屋に沙慈たちがいるのかというと、それは何となく不安だったからである。一晩中語り合っていたことは知っているから、今頃かなり疲れた顔をしているんだろうなぁと思い、結果として今に至るのである。

 そして……来てみて、正解だったと思う。
 ルイスがグラスに水を入れて、それを受け取って唯一起き上がっているヨハンに渡す。

「良かったら…」
「あぁ…どうもありがとう」
「いえ……」

 答えながらチラリと狩人の二人を見てみれば……ロックオンは俯せで、カタギリは仰向けでベッドに横たわっていた。どちらにも共通して言えることは……そう、死人のようにピクリとも動かないことだろうか…。
 先ほど喋っていたときは口が動いていたが、それ以外は全く…である。
 ……正直、怖い。

 対して、まだ起き上がっているヨハンの方が話し掛けやすいという物。彼の場合は少しは動くし、表情もちゃんとまだ変わっている方だ。

「あの、もう眠っちゃえばいいんじゃないですか?」
「そーしたいのは山々なんだけどな……」

 俯せ状態から少しだけ顔を横に向けて、ロックオンがこちらを見た。
 それから溜息を吐いて口を開く。

「……何か眠れない。またアイツらが問題起こす気がして眠れないんだよ…」
「アイツら、ですか…」

 その瞬間に沙慈の頭に浮かんだのは、まずはトリニティの次男と末っ子、それからグラハム、あとはハレルヤとティエリア。
 刹那は大人しいし、ソーマは大人びているし、アレルヤはのんびりしているし、あの辺りはそれほど心配することもないだろう。

 にしても、と沙慈は首をかしげた。
 少し、ロックオンの態度が不思議だった。

「ロックオンさん」
「ロックオンで良いよ……で、何だ?」
「皆さんと出会ったのは、僕らが来る一日前ですよね?何だか……ロックオンの態度はずっと前から一緒に居るみたいな、そんな感じがするんですけど…」
「んー、確かに……妙だよな」

 ゴロンと転がって体の向きを百八十度変え、それからゆっくりと起き上がったロックオンは……答えあぐねているようだった。

「けどな、あの三人とは初めて会った気がしないんだよな……敵意を持ってた初日はともかく、今は」
「それだけ仲良くなったって事じゃないのかい?出てからはともかく、孤児院にいたときに君らしい人物は来た覚えがないよ?」
「そうかもしれないんだが…何か引っかかってるような感じで…」

 どういうことなんだろうと、沙慈はルイスと顔を見合わせて首をかしげた。
 以前出会ったとか、そういう事なんだろうか?
 

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