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本当に懲りません。また、第三話が大元になってそうな話。
奪還して少し経って落ち着いてって時の話…だと思う。
01.白いシャツ
※懲りもせずに第三話から。
これは非常にマズイ状況だ。
刹那は手に持っている『ソレ』を眺めつつ、溜息を吐いた。
……今、アレルヤにはシャワーを浴びてもらっている。久々にのんびりとしてもらえるので、まぁまずは……ということで、そういうことになった。
そして、問題はその後だった。
着替えの服が…無かった。
まさか、あの囚人服(?)を再び着てもらうわけにもいかないし、何より彼に合いそうな衣類がない。ラッセあたりのなら大丈夫そうだが、タイミングの悪い(ある意味では良いと言えるのかもしれない)ことに、全て洗濯に出しているようで。さらに付け加えると、制服は出来ているものの微調整が必要だそうで、今はまだ使用できない。
そういう事情で船内を駆けずり回った結果、見つけ出したのはたったの一着だった。
しかも……その一着もまた、問題があった。
本当に一着なのだ。
つまり、白いシャツ一枚だけ。ズボンはない。
これは一体どうした物だろうか。これだけ差し出すというのも問題があるように感じるし、何も出さないのもどうかと思う。
よくよく考えた末、たとえこれだけでも渡そうという結論に落ち着いた。ずっとシャワー室に押し込めている方が、とても問題になる。
幸いシャツはかなり大きめで、正直、アレルヤでも裾や袖があまりそうな程のサイズだった。これならまぁ……もしかなくても、太ももの半分くらいまでなら覆えそうだし、ズボン等が無くてもどうにかなりそうではあった。
にしても……一体、これの持ち主は誰だろうか……?クルーの中にこんなに大きいメンバーはいなかった気がするのだけれども…。
酷く疑問に思ったが、これのお陰で救われたのも事実なので……気にしないことにした。
……何となく作為的な物は感じるが。
「アレルヤ」
「あ、刹那?どうかした?」
シャワー室に辿り着いた刹那が呼ぶと、アレルヤはドアを少しばかり開いて、ひょこりと隙間から顔を出した。頭から湯でも被っていたのか、ポタポタと髪の先端から滴が垂れていて、前髪はベトリと顔に張り付いていた。
「…頭でも洗っていたのか?」
「うぅん。今から洗うところ」
「俺が洗う」
「え…良いよそんな!」
「気にするな」
慌てて断ろうとするアレルヤを半ば強引に押し切る形で数秒後、刹那は制服の袖をまくって彼の頭をワシャワシャと洗っていた。
「うぅぅ…何かゴメンね?」
「むしろ謝るのは俺の方なんだが…」
「どうして?」
「…着替え、白いシャツが一着しか見つからなかった」
その言葉に丸くなった目が、刹那を映した。
「ズボン無いの?」
「あぁ。下着はあるが…」
「シャツだけかぁ…大きさは?」
「アレルヤくらいの背だったら、太ももの半ば辺りが裾だと思う」
推定だがほぼ確定である情報を伝えると、彼は軽く首を傾げた。
「……何でそんなに大きいシャツがあるのかな?そんなに背の高い人っていたっけ?」
「そこは…俺も思った」
だが、肝心の答えがない。
泡をシャワーで流しながら、刹那は軽く息を吐いた。
「何か……見えない意思を感じるが…」
「誰かが裏で手を引いてるって?…有り得そうだね」
そうする理由は…見あたらないのだけれど。
ただ……何と言うか、シャツ一枚だけというのは……色々と危ない気がする。
誰かが意図的にこの状況を作ったとして、ならば目的はそれだろうかと考えながら、刹那はシャワーのを止めた。
とりあえず、その誰かとは仲良くなれるかも…いや、やっぱり分からない。
裏設定:裏で手を回していたのはティ様。
…こーいうのもアリかなぁとか…というか、下準備を出来るのは彼くらいの物…。