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りん、りん、りん
鈴の音が聞こえる
「ねぇ、アリオスたちは起きてるのかなぁ…?」
「どうしたんだよ、突然」
「……何となく」
短銃の整備をしていると、ふいに隣にいたキュリオスが尋ねてきたので聞き返せば、困ったように彼は眉根を寄せた。
何だソレ、と答えながらHAROの仕組みを完全に解き明かそうと頑張っているヴァーチェと、ハロと一緒に何もせずに過ごしているエクシアの方にも視線をやる。
HAROが解体されているという点を除けば平和である光景に、デュナメスは少しばかりの笑みを浮かべた。やっぱり平和が一番だ。
「…で、お前はどう思ってるんだよ」
「僕は……起きてるんじゃないかって思う。デュナメスは?」
「良く分からない。けどま、お前が言うなら多分そうだろ」
手を休め、視線をキュリオスに戻してから腕を組む。
証拠がないので仮に起きている事ととして……それは良い。だが、起きていようといまいと変わることのない、かなり深刻なとある問題が残っている。
「けど…アイツらが、一体どこにいるのかが何よりの問題だよな」
「そこまでは、近付かないと分からないから……」
「逆に言えば、近付けば分かるって事だけど」
「手当たり次第は難しいよ。アリオスと違って、ケルディムたちは人の形ですらないし…」
出会うことの困難さ故だろう、悲しそうに笑うキュリオスを見て、唸る。
実際その通りだった。人形ならば特徴を上げれば、普通の誰かでも分かってくれるだろう。オレンジ色の頭とか、特徴的なキュリオスとお揃いの服装だとか、いくらでも分かり易い箇所はあるのだから。
対して、ケルディムは銃、ダブルオーは剣、セラヴィーは杖。
セラヴィーあたりはまだ大丈夫かも知れない。杖なんて、しかもあんな芸術品のような杖なんて、そうそう置いてあるような物ではない。ダブルオーも、ある程度は凝っている装飾が付いているような。ケルディムも、あの長さの銃器は中々見つからないかもしれないから、そこを辿ればどうにか。
しかしながら、後者三人の方が見つけにくいのは事実だ。何故なら……普通の人ビト骨董品にしかならない彼らをよく見ている可能性が低く、たとえ起きていたとしても彼らは動けないから。したがって、こちらから見つけに行くしかないのだ。
アリオスは動けるから、あるいはあちらが見つける可能性もある……すれ違う可能性もあるが、まぁ、それはそれ。
「後で俺たちも都に行くんだよな…その時にでも少し、探してみるか」
「けど……僕らが動いて良いの?」
「いざとなったら、あの二人に頼むしか無いだろうけどな」
「……コッソリ出ればいいんじゃないか?」
「エクシア…」
ボソリと呟かれた言葉に、キュリオスが苦笑を浮かべる。
それには構わず、オレンジ色の球体を指で押して転がして遊びながら、エクシアは言葉を続けた。
「ずっと止まって、彼らに迷惑を掛ける必要性もない。そのまま消えればいい」
「……お前、もしかしてずっとソレ考えてた?」
デュナメスの問いに返ってきたのは沈黙……という名の肯定。
変なところで生真面目な仲間に、思わず呆れを覚えた。
そんなことを気にする必要性こそ無いだろう。彼らは自分たちを受け入れており、それが全て。もしも本当にマズイ状況になったら……その時は彼の言うことも実行するかもしれないが…その時はその時。
今ソレを考えるのは、時期尚早というものだ。