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久々ですね、白のお題も。
今回はリヒティことリヒテンダール・ツエーリのお話。
彼の過去も大概…ですよね。
07.絆
目覚めてみれば病院で、傍にいた看護士が自分が目を覚ましたのを見て、慌てて病室から出て行った。誰かを呼んでくるのだろうか。
酷く現実味のない現実の中で、ボウッと、ただベッドの上で座っていた。
何があったんだったっけ……そうそう、両親と一緒にいて。
少し話したりもして、話しかけられても今はダメと言われたりもして。
笑い合ったりして、それから、
爆発が起こって。
そこまで思い出して、ハッと自分の体を見る。
記憶では凄いことになっていたはずだが、どうやら治されたらしい。そういったキズは見あたらなかった。
見あたらなかったものと言えば、もう一つ。
両親の姿が、見あたらない。
一緒に爆発に巻き込まれたハズの二人は、どこにいるのだろう?どうせなら一緒の病室に入れてくれたら良かった。病院側ももう少し考えてくれたらいいのに。
そう思っていたけれど、それはもしかしたら、現実を受け入れたくなかったからこその逃避、だったのかもしれない。
だって知っていたから。
見たから、感じたから。
二人とも、死んだから。
あぁ、コレが現実ならば、神様というのは何と残酷な運命を用意しているのだろう?
一体、自分たちが何をした?両親は仕事をしていただけ、自分は傍に居ただけなのに。
なのにこの仕打ちは?
悔しくて悲しくて、そしてふと、気付く。
何だか……生きている心地がしない。
不思議に思い不安に思っていると、医師らしい誰かが来た。
その人曰く、自分の体、その内臓のほとんどは人工のものになったという。
あと、やっぱり両親は死んだのだと。
それを伝えて去っていった医師を見送って、ギュッと体を掻き抱くようにする。
人工臓器、だから生きた心地がないのか。暖かみが無いから、生きた心地がないのか。
だとしたら、これは生殺し。
生きている実感が湧かないのは、死んでいるのと同じ事。
まるで、生きた屍。死にながらも生きている死者。
死が、繋いでいるようだと思う。
自分と両親を。『死』という絆によって。
父も母も、どうして自分を放してくれないのだろう。自分には出来なくても、きっとあの二人には繋がりを切ることが出来る、何となくそう思った。
その絆を切ってしまったら、繋がりが無くなるからだろうか。
けれど、お願いだから早く切って欲しい。
何故なら。
今、ここは現実なのだろうかと、それが分からなくなってしまうから。
生きている実感が湧かないのは、死んでいるのと同じ事。
生ける屍。死にながらも生きている死者。
誰か、生きていることを実感できる何かを。
何かを頂戴。
(誰か助けて、この現実味のない現実から)
…リヒティも、好きな人が出来て、その人の事を思って、想って…そうすることで、救われたのかな…。