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擬人化100題 14.ワニ と完全にリンクしております。
今回はお留守番中のガンキャノン兄弟のお話。
…っても、のんびりしてるだけ、ですが。
15:テレビ
ニュースを見ながら煎餅をパリ、と割る。
「いやー、ニュースキャスターも人間になってんなー」
「驚きだよね。どこら辺まで異変が起こってるのかなぁ」
報道されているのは昨日から発生している、謎の『MS→人間』現象の事。原因は不明だとか、いつまでこの状態かも不明だとか……ハッキリ言うと、不安を成長させる手助けしかしていない気がする。いや、ニュースは情報を正確に伝える物だし、ここに他の何かを求めるのも妙な話だろうが。
割れた煎餅の欠片を一つ摘み、ポイッと口に放り込む。
「ガンダム、どこまで回ったって言ってたっけ?」
「えっと……とりあえず、ほとんど全員だって。昨日一日だけで、本当に頑張ったよね」
「俺らも手伝えりゃ良かったんだがな……」
そう呟きながら、きゃのっ八が思うのは昨日の騒動のこと。
一番最初に異変に気付いたのがスターゲイザーだったのはまぁ、何というか……酷く納得できるでさておいて。
問題は、全員がそれを直ぐには受け入れられなかったことだった。
ガンダムやアレックス、自分たちガンキャノン兄弟は割と普通に受け入れた。他にも色々と有り得ないことを体験しているから、直ぐに受け入れることが出来た。それおそ悲しいくらいにあっさりと、である。
しかし、残りの二人が問題だったのだ。
そう。ノワールと、たんく。
まずノワールが『これは祟りだ!』とか嬉しそうに、恐ろしそうに叫びだしたのがキッカケで、たんくがそれを真に受けてしまったことで原因が完成する。
退魔の術とやらを二人でやっている姿は……怖かった。とにかく怖かった。
止めることが出来るようになるまでに要した時間は、何と一時間。しかも途中からガンダムが抜けていったために、何故かきゃのっ八が現場の指揮を執ることになってしまったので洒落にならない。
……とまぁ、そういわけで手伝いは出来なかったのだが。
「不可抗力だよなぁ、ありゃ」
「だよねぇ」
次のニュースは、全く関係ないこと。とある川で、ぷかぷかと浮いている気絶したワニが発見されたとかいう話だった。見ていたという通報者曰く、そのワニを倒したのは見慣れない人間二人だったとか何とか。
世の中には強い人間もいるようだ。
…が、一瞬、知り合いの顔が浮かんできたのは一体……。
慌てて首を振ってその思いを追い出し、次のニュースに意識を向ける。
「ワニって…凄い人間がいるんだね、きゃのっ八兄さん」
「きゃの九……突然悪いんだけどな?」
だが、追い出しきれなかった疑惑が頭の中を支配する。
「ワニを倒したってあのニュース聞いて、何か浮かんでこなかったか?」
「……えっと、ノーコメントの方向で」
「そうか……」
ということは、弟もまた何かを思い浮かべたと言うことか。
ノーコメントということだし、これ以上は触れない方が良いだろう。
そう思って、きゃのっ八は改めてテレビの方へとむき直した。
浮いていたワニは『あの』ワニたちです。