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きっと、こういう場面もあっただろうな、という……。
東京の三人組の話。
01.45点
期末のテストが返ってきたそうだけれど。
「どーして45点なのーっ!」
「ル……ルイス、落ち着いて……」
「落ち着いていられるわけ無いでしょ!だってあれだけ勉強したのに!」
叫ぶルイスをなだめる沙慈。
そんな二人を見ながら、絹江はため息を吐いた。
今日は久しぶりの休み。家でのんびりとしていようと思っていたのに、これではゆっくり休むことができない。
「でも、今回のは難しかったから……」
「80点台とってる沙慈に言われたくないっ!」
「で、でも……」
「でもじゃない!」
相変わらず押しの弱い弟だ。
今でもしっかりはしていると思うが、もうちょっと意思を強く持ってはくれないものか。見ているこちらが不安になる。
対して、ルイスは押しが強すぎるような。
もう少し、遠慮というものを持てばいいのに。
なんというか……足して二で割ると丁度いいような二人だ。
自分用のコーヒーを淹れ、それからジュースを二人分用意する。
「沙慈、ジュース取りに来てー」
「あ、姉さん。今行くよー……ルイス、少し待ってて」
わざわざルイスに断って来るあたり、とても律儀だといえるだろう。
「オレンジジュースしかなかったけど、いいかしら」
「大丈夫だよ。ありがとう」
「お菓子はないわよ」
「うん、知ってる」
言って、さじは二人分のジュースを持って行った。
絹江はコーヒーを一口飲みながら、二人の様子を眺める。
「はい」
「ありがと」
「ところでルイス、どこが分からなかったの?」
「えっと……こことこことここと…」
「いや、いっぺんに言われても分からないよ……」
「分かって」
「そんな無茶な……」
本当に、押しの弱い……。
返ってきたルイスのテストを見ながら復習をする二人は、端から見てもなかなか仲良し。
……合わないとは思うけど…けど、お似合いなのかも。あの二人。
もう一口、コーヒーを含む。
まぁ、そういうことは第三者が口を出すようなことではないし、当事者たちに任せるべきだろう。
「というか、だいたい、沙慈の教え方が悪いの!」
「え……えぇ!?」
「うん、そうに決まってる!」
沙慈、やっぱりもっと押しを強くしなさい。そのうち絶対損するから。
もう、こんな姿を見ることはできないけれど。
でも、きっとあったと思うんですよ。
次はロクアレ書きたいな……