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カタロンの子供たちは自由に色々と出入りしてるなぁとか思ったり、スメラギさんたちが話してる間はアレルヤやティエリアは何をしていたんだろうとか、そんなことを考えた末の…です。



05.ダブルクリック   (第五話:故国燃ゆ)



「暇だなぁ……」
 カタロンの基地の中、MSの格納してある場所の壁際に、アレルヤは両足を抱えて座っていた。刹那とスメラギの話は長くなりそうだったし、初めて見る反政府組織の事も気になったので、こうしてカタロン構成員たちの様子を見ていた。
 しかし、どんな事でも飽きというものは来る。
 まさに今、そんな状態に陥っているアレルヤは、ふぁ、と軽く欠伸をした。
 そのまま目をゴシゴシとこすりながら思う。
 何だか眠い。助け出されてからまだ日も浅いから……もしかすると、まだ本調子では無いのかも知れない。ゆっくり出来る機会があったら、もう少し睡眠を取ったりと…体を休めた方が良いだろう。
 歩いていくカタロンの人々が驚きの表情でこちらを見るのを不思議に思いながら、機内に戻って仮眠でも取っておこうか、いやそれはカタロンの人たちへの失礼にあたるんじゃないか、などと堂々巡りに陥っていると、ふいに影が掛かった。
 見上げれば、そこには呆れた表情のティエリアの姿。
「やぁ…おはよ、ティエリア」
「おはようではないんだがな……まぁ、良い。それより、」
「ん?」
「この基地の住人たちが、君の見た目と全くそぐわない行動と態度について驚きを示しているのには、気付いていたか?」
「…あぁ、驚いてるのってそれが理由だったんだ」
 感情の方は分かっていたけれど、理由の方は分からなかった。
「なるほどね、納得だよ」
「あと、これは提案だが、眠いなら機内に戻って寝ろ」
「あ、それは今、僕も思ってたけど…」
「なら戻るぞ」
 ぐい、と腕を引かれ、アレルヤは立ち上がった。
 眠気によって少しばかり朦朧としている頭を軽く振りながら、ティエリアの先導のお陰で無事にアレルヤは機内に辿り着き、そして。
「……」
「……」
「……」
「……」
 二人の子供と目があった。
 一気に目の覚めたアレルヤは、こそりとティエリアに囁いた。
「ねぇ……あの子たちって…誰?」
「それはこちらが知りたいんだが……」
 返ってきたのは呆然とした呟き。彼もまた、この状況を呑み込めていないようだった。
 子供たちはと言うと……そうでもなく、自分たちの姿を目にして、ぱぁっと顔を明るくした。どうやら、アレルヤとティエリア、あるいはCBのメンバーを待っていたらしい。
 一体何故、と思っていると、子供のうち片方が一つの薄っぺらい長方形の箱……否、ノートパソコンを差し出してきた。もう一人は手にマウスを持って、隣の子供と同じようにこちらへと差し出している。
「これは……?」
「えっと…」
 ティエリアは二人の行動に困惑を抱いた様子で戸惑っていたので、ならば自分が……とアレルヤは子供二人に近寄り、しゃがんで二人と同じ目線に合わせて、それから微笑んだ。
「僕らに、何をして欲しいのかな?」
 二人は躊躇っていたようだが、決めたらしい。怖ず怖ずと、だがハッキリと言った。
「このノートパソコンもらったんだけど…ゲームの起動のしかたが分かんなくて…」
「人に聞こうと思って、ここに入ったの?」
「みんな忙しいから…お兄さんたちなら、暇そうにしてたし…」
 子供の目から見ても暇そうだったのだと判明して、アレルヤは思わず苦笑した。
 それから座席に座り、ノートパソコンを開いて、もう一人の子供からマウスを受け取った。どうやらこれは、マウスがないと操作ができないタイプの物らしい。何と言うか……今となっては骨董品な気が、しなくもないのだが。
 こんな貴重な物を子供に渡して良いんだろうかと首を傾げながら起動させ、子供たちにどのアイコンがそのゲームを表しているかを聞く。
「どれかな?」
「…これ」
「これだね」
 カーソルを合わせて、左クリックを二回。
 結果。
「…あれ?」
「あ、開いた!」
 いとも簡単にプログラムは開き、あまりのあっけなさに拍子抜けしていると、直ぐに膝の上からノートパソコンは取られてしまった。見事な手際である。
 どういうことだろうと頬を掻きながら考えていると、いつの間にか傍に来ていたティエリアが隣に腰掛け、腕と足を組んだ。
「おおかた、一回しかクリックしてなかったんだろう」
「…あー、それは有り得そうだね…」
 大人に『ここを押すんだよ』などと言われたら、子供は一回しか押さないだろう。そしてカタロン構成員たちは忙しいと言うし、説明がおざなりになっても不思議ではない。
 ノートパソコンを床に置いて遊び始めた子供を眺めながら、アレルヤは複雑な気持ちになった。この子供たちの存在は……戦場には、あまりに不釣り合いなように思えた。
「できれば…」
 その思いが、口を開かせた。
「この子たちは…巻き込まれて欲しく、ないんだけど…」
「この場にいる、その時点で充分に巻き込まれていると思うが」
「そうかもしれないけど…思ったんだ」
 そして、ゆっくりと瞳を閉じた。

 けれど、その思いは綺麗に裏切られて。
 アロウズの残した爪痕は、果たしてあの子供たちに及んだものなのだろうか…?




ライルはともかく、ティエとアレは暇だったと思います。やることなさそうだ。
最後は…本編が…あれなので…。
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