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197


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 どうして、その名前を。

 アレルヤは混乱していた。

 変だ。自分はその名前を『知らない』ハズなのに。
 どうして、自分はその名前を『知っていた』のだろうか?
 どうして、どうしてここまで心がかき乱されるのだろうか?
 忘れただけで会ったことがあるのだろうか?

 分かってはいけない
 解ってはいけない
 判ってはいけない

 その名前が何なのか、誰を指すのか思い出してはいけない
 その記憶は深く、深く沈めた記憶なのだから
 だから……


 ギィ


「……!」
「アレルヤ、大丈夫なの!?アレルヤ!」

 自分の中、その奥の方から木製のドアが軋む音が聞こえる
 ダメだダメだダメだダメだダメだ
 そのドアは、開いてはいけないのに!

 折角押し込めていたのに
 思い出してはいけないのに
 お願いだから


 お願いだから、その『一番目の罪』の記憶だけは……



『思い出したくないのかい?』



 クスリ、という笑い声が頭の中に響く。
 ボンヤリと、アレルヤはそちらに意識を向けた。
 そこには……自分の頭の中なのに、自分ではない誰か、別の誰かが一人だけ、立っていた。顔は、影になっていて見えない。

(…誰)
『誰か?失礼だな…君は知っているはずだよ?だって、僕と君は初対面じゃないからね』
(会ったことが……ある?)
『そう。僕らの出会いは君が閉じこめた記憶の中に』

 その言葉に、浮かんでくるのは一つの情景



 赤い赤い風景の中、紅の手のひらを見つめて嗤っているのは………誰?



「っ…嫌だ嫌だ嫌だッ…」
「アレルヤ!?」
『ふぅ…イジメ過ぎたのかな?じゃあ、今日はこのくらいにしとくよ。またね』

 頭を抱える自分に、横に座る誰かが触れる。
 そんなことが気にならないほどに…記憶の中の赤と紅に、思考が塗り潰されていた。

 

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