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ふと、そういえばどうしてケルディムとアリオスがカタロン基地に行ったんだろうとか。
一機だけじゃダメだったのでしょうか?
……というのは全く関係ない、今回の話。
アロウズがカタロンを襲撃するときの話なので、ダブルオーは出て来ません。
ぞわりと、頭を何かが撫でる感覚がした。
この気配は一度、別の場所でも味わったことがあった。その時は、気配を発する物の殆どがダブルオーのマイスターによって破壊されていたため、それほどの影響は無かったのだが……今は違う。どれもが正常に稼働中で、それ故に歪な異常が発生していた。
オートマトンによる、人々の虐殺。
自身のマイスター……ティエリアより先にそれを確認したセラヴィーは、強く唇を噛んだ。間に合わなかった……今の自分たちに課せられている使命…アロウズの非道を阻止するというそれが、達成できなかったのだ。
あと数秒で辿り着けるのに、もう、手遅れ。
「クソ…ッ」
歯がゆかった。見えているのに届かない、というのは。
『あ……』
「…アリオス?」
常時開いている、自分たちしか使用できない機体同士の通信で、突然にアリオスの声を聞いた。どこか呆然としている声を。
一体……と思い、ハッとした。
そういえば、アリオスは…そしてケルディムも……アロウズのやり方を見るのは、これが初めてなのだ。しっかりとしているケルディムはまだしも、精神面がまだまだ弱いと言えるであろうアリオスに、この光景は酷すぎたかもしれない。アロウズと敵対する異常、いずれ通らなければならない道とはいえ。
『あ………う………』
「アリオス、落ち着け!まだ生存者はいる!」
過呼吸になりかかっているアリオスに、セラヴィーは焦りを覚えた。
精神体の変調は、機体のコンディションに大いに関わる。もしここでアリオスが意識を失いでもすれば…最悪、機体は地面に墜落する事も有り得ないとは言い切れない。実際に見たことがないために曖昧になるが、とにかく良い結果が待っているとは考えにくいのだ。
しかし、自分の言葉にアリオスは首を振った。
『違う…生存者も大事だけど……違うんだ……』
「…何?」
『怖い……んだ…』
画面の向こう側にいるアリオスは、ギュッとその身を抱きかかえるようにして、目をギュッと瞑って震えていた。
『あの機械から嫌な物を感じるんだ……ただ『殺す』っていう意思しかない…それが怖くて……だから、僕は……僕はあっちに行きたくない……ッ』
「アリオス…」
セラヴィーは彼の名前を呼ぶ以外、何も口にできなかった。
彼の言うことは分かる。あんな『意思』の傍になど、誰も行きたいとは思わない。
だが、自分たちは行かなければならないのだ。それが使命なのだから。
そう……取るべき行動は決まっていて、それは覆されることはない。
なのに返答を躊躇ってしまったのは、アリオスが本当に怖がっているのが分かったから。たったの一瞬だったが……こんなに恐れを抱いている彼を、果たして無理に連れて行く必要があるのかと思ってしまったのだ。
すぐにそんな甘い考えは打ち消したが、そう考えたという事実は残る。
だから、セラヴィーには何も言えないし、言う資格はない。
何よりも、こう言うときに何と言うのが正しいのか……それが思いつかなかった。
自分は、落ち込んでいる他人をどうこうするのは…不得手なのだ。
『アリオス』
どうするべきだろうかと思案していると、ふいに、今まで沈黙を守っていたケルディムが、ひどく重々しく口を開いた。
『目を逸らすなよ。これが……俺たちの罪だ』
『つ…み………?』
『あぁ……罪、だ』
突然何を、とセラヴィーは思ったが、黙っていることにした。こういうのはケルディムの方が向いている。
『あれを作ったのは確かに、連邦の…アロウズのヤツらかも知れない。けどな、こうなるキッカケを与えたのは俺たちなんだよ。ガンダムっていう存在だ』
『僕らの存在のせいで…?』
『そう。俺たちさえいなければCBの活動はなかった。その活動のせいでこうなったていうんなら…やっぱり俺たちのせいだろ。たとえ元から『こうなる下地』が人間の中にあったんだとしても、それを掘り出したのは俺たちだ』
だから、と彼は一旦区切った。
『だから……俺たちだけは、何が何でも目を逸らしちゃいけないんだよ』
そしてケルディムは口を閉ざし、アリオスは沈黙し、セラヴィーは黙ったままだった。
しばしの間、流れる静寂。
『……分かった』
そうしてアリオスの口から零れたのは、こんな言葉だった。
『頑張るよ……ケルディム、セラヴィー』
「…その意気だな」
セラヴィーはフッと笑い、射程距離に入った敵を見据えた。
自分は、元より目を逸らす気はない。
ただ、使命に従って完膚無きまでに相手を叩きつぶす。
それだけのことなのだ。
オートマトンに意思があったとしたら、ただ『殺す』ことしか無いのかなとか。
いえ、この場合は『殺す』でなくて『コロス』みたいな…感じですか?
意味は一緒だけど、文字から感じる物が少し…違いませんか?
この気配は一度、別の場所でも味わったことがあった。その時は、気配を発する物の殆どがダブルオーのマイスターによって破壊されていたため、それほどの影響は無かったのだが……今は違う。どれもが正常に稼働中で、それ故に歪な異常が発生していた。
オートマトンによる、人々の虐殺。
自身のマイスター……ティエリアより先にそれを確認したセラヴィーは、強く唇を噛んだ。間に合わなかった……今の自分たちに課せられている使命…アロウズの非道を阻止するというそれが、達成できなかったのだ。
あと数秒で辿り着けるのに、もう、手遅れ。
「クソ…ッ」
歯がゆかった。見えているのに届かない、というのは。
『あ……』
「…アリオス?」
常時開いている、自分たちしか使用できない機体同士の通信で、突然にアリオスの声を聞いた。どこか呆然としている声を。
一体……と思い、ハッとした。
そういえば、アリオスは…そしてケルディムも……アロウズのやり方を見るのは、これが初めてなのだ。しっかりとしているケルディムはまだしも、精神面がまだまだ弱いと言えるであろうアリオスに、この光景は酷すぎたかもしれない。アロウズと敵対する異常、いずれ通らなければならない道とはいえ。
『あ………う………』
「アリオス、落ち着け!まだ生存者はいる!」
過呼吸になりかかっているアリオスに、セラヴィーは焦りを覚えた。
精神体の変調は、機体のコンディションに大いに関わる。もしここでアリオスが意識を失いでもすれば…最悪、機体は地面に墜落する事も有り得ないとは言い切れない。実際に見たことがないために曖昧になるが、とにかく良い結果が待っているとは考えにくいのだ。
しかし、自分の言葉にアリオスは首を振った。
『違う…生存者も大事だけど……違うんだ……』
「…何?」
『怖い……んだ…』
画面の向こう側にいるアリオスは、ギュッとその身を抱きかかえるようにして、目をギュッと瞑って震えていた。
『あの機械から嫌な物を感じるんだ……ただ『殺す』っていう意思しかない…それが怖くて……だから、僕は……僕はあっちに行きたくない……ッ』
「アリオス…」
セラヴィーは彼の名前を呼ぶ以外、何も口にできなかった。
彼の言うことは分かる。あんな『意思』の傍になど、誰も行きたいとは思わない。
だが、自分たちは行かなければならないのだ。それが使命なのだから。
そう……取るべき行動は決まっていて、それは覆されることはない。
なのに返答を躊躇ってしまったのは、アリオスが本当に怖がっているのが分かったから。たったの一瞬だったが……こんなに恐れを抱いている彼を、果たして無理に連れて行く必要があるのかと思ってしまったのだ。
すぐにそんな甘い考えは打ち消したが、そう考えたという事実は残る。
だから、セラヴィーには何も言えないし、言う資格はない。
何よりも、こう言うときに何と言うのが正しいのか……それが思いつかなかった。
自分は、落ち込んでいる他人をどうこうするのは…不得手なのだ。
『アリオス』
どうするべきだろうかと思案していると、ふいに、今まで沈黙を守っていたケルディムが、ひどく重々しく口を開いた。
『目を逸らすなよ。これが……俺たちの罪だ』
『つ…み………?』
『あぁ……罪、だ』
突然何を、とセラヴィーは思ったが、黙っていることにした。こういうのはケルディムの方が向いている。
『あれを作ったのは確かに、連邦の…アロウズのヤツらかも知れない。けどな、こうなるキッカケを与えたのは俺たちなんだよ。ガンダムっていう存在だ』
『僕らの存在のせいで…?』
『そう。俺たちさえいなければCBの活動はなかった。その活動のせいでこうなったていうんなら…やっぱり俺たちのせいだろ。たとえ元から『こうなる下地』が人間の中にあったんだとしても、それを掘り出したのは俺たちだ』
だから、と彼は一旦区切った。
『だから……俺たちだけは、何が何でも目を逸らしちゃいけないんだよ』
そしてケルディムは口を閉ざし、アリオスは沈黙し、セラヴィーは黙ったままだった。
しばしの間、流れる静寂。
『……分かった』
そうしてアリオスの口から零れたのは、こんな言葉だった。
『頑張るよ……ケルディム、セラヴィー』
「…その意気だな」
セラヴィーはフッと笑い、射程距離に入った敵を見据えた。
自分は、元より目を逸らす気はない。
ただ、使命に従って完膚無きまでに相手を叩きつぶす。
それだけのことなのだ。
オートマトンに意思があったとしたら、ただ『殺す』ことしか無いのかなとか。
いえ、この場合は『殺す』でなくて『コロス』みたいな…感じですか?
意味は一緒だけど、文字から感じる物が少し…違いませんか?
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