お題：橙 10.巻き戻し

橙のお題も久しい気がする。というか、これでようやく半分ってのは…。
セリフしか無いような話です。それと、良く分からない人々が数名。彼らに誰、というイメージはないです。

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10．巻き戻し



「もしも、の話です」
「ここに、砂時計があるとしましょう」
「何の変哲もない、砂礫の時計」
「市販しているチャチな物と考えくださっても構いません」
「ただし、一つだけ通常と違う所があるのです」
「見た目は、本当に普通の砂時計です」
「持っているのは、特殊な特性」
「時計をひっくり返すと不思議なことが起こるのです」
「あとは、砂時計の様子通りのことが起きましょう」
「消費されてきた時間が巻き戻るかのように、時間が動くのです」
「ハッキリ言うと、時間の逆行」
「今まで積み重ねてきた物も全て巻き戻ります」
「そして、戻りたかった時間まで戻ることが出来るのです」
「今までの言葉から分かりますでしょうが、戻る時間は選べます」
「問題となるのは、降下の程度」
「砂の落ち具合を調整すれば良いのですよ」
「一番最初に失敗した所ですとか」
「一番最悪に失敗した所ですとか」
「選べる選択肢は、過去の数程」
「どこへでも、お好きな場所へとお向かいください」
「そんなお得な摩訶不思議な砂時計ですが」
「今なら何と、無料で差し上げております」
「得る事の是非は、個人の問題」
「さて、一体どういたしますか？」
「こんなチャンスは有りませんよ」
「こんなチャンスは無いのですよ」
「決定する権利は、客人の意思」
「頷きさえすればこの砂時計は貴方の物です」
「さあ」
「さあ、返答を」
「さあ、返答をこちらへ」
「さあ、返答をこちらへ下さいませ」


「いりません」
「いらねぇよ」


「おやおや、不思議な方々だ」
「おやおや、理解不能な方々だ」


「だって、巻き戻すだけでしょう」
「昔に戻るだけって話だろーがよ」
「なら、僕らにとっては何も変わらないですから」
「てーか、ンな事で変わってたまるかって話だろ」
「逃げることは出来ませんから」
「他に選択肢がねぇんだからな」
「例え使ったところで」
「仮に使ったところで」
「僕は過去を繰り返し、施設に入り機関に入り」
「俺は誕生を繰り返し、虐殺を続け嘲笑を続け」
「結局の所、僕は片割れと出会うんです」
「最終的に、俺は片割れと出会うんだよ」
「だから過去を変えて片割れに会わないとか」
「過去を変えて俺の存在が現れないってのは」
「絶対に、有り得ない」
「確実に、有り得ねぇ」
「だからこそ」
「そゆわけで」

「そんな無意味な物、いりません」
「そんな必要ねぇ物、いらねぇよ」



「だって、ハレルヤに会いたいから、過去は変えたくないもの」
「アレルヤと生きてぇからな、嫌だが過去はあれで良いんだよ」

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何とか纏まった…か？最初に出てくるセリフは、計四人が順繰りに言っているのですが、キャスティングなんてものはやってません。ただ単に、問いを発するための人々です。

アレルヤとハレルヤのセリフで頑張ったところは、出来る限り文字数を一緒にしたこと。句読点とか小さい文字も含みますと、だいたいが、同じ字数になってるかと思います。